『MAO』

 

高橋留美子の作品、既刊24巻。

 

アニメ化、おめでとうございます――!!

ずっと後追いで読んでいた作品ですが

この機に最新刊に追いつきました。

 

新作が「ちゃんと」新作である

稀有な大御所作家さんなので

新作企画が進むのは大歓迎です!

 

以下、感想です。

 

 

 

題材はるーみっくワールド集大成と

いったところで、伝奇もの好きな方には

太鼓判を押す仕上がりなのでした~。

 

そして主人公である菜花ちゃんが

過去作のメインによくいるタイプの

健全な精神を備えた「強い」女の子なので、

呪詛まみれの作品空間において

ツッコミを的確に入れてくれるのが

物語の案内役として頼りになりすぎるのです!

 

恋愛ものとしては、摩緒は暴言吐かないとはいえ

気持ちを言語化してくれない、お得意男子につき←

式神である乙弥くん・読者の皆さまから

その内心のほうを口にしないのか!!と

総ツッコミを受ける状態なんですよね……

後述キャラ担当である私は、わりとイラついてるなあ(笑)

 

物語としては、永い時に渡る因縁の真相が

明かされた23巻で転換点を迎えてまして

このまま最終章に進んでいるのか

はたまた折り返しに過ぎないのかは、

できれば前者でお願いしたいものです()

 

思っていたより大五さんが

屈折しているキャラっぽいのが

長尺化への不穏要素ではありますね……

 

☆☆☆

 

メインの男衆のアニメ版声優さんが

明かされた段階で、あんまり視聴に乗り気じゃないの

『犬夜叉』関係者ぞろいだからではなく←

私の担当キャラである夏野さん含め

女性陣のドラマのほうが見応えがある

作劇だから、というのも大きいんですよね~。

 

なんやかんやで高橋留美子作品の

物語の中心はヘテロカプだし、同性愛に対しては

「ちゃかし」「ギャグ」表現が目立つのですが

(RINNEもちょくちょくあった!)

《女の子を大事にしている女の子》の表現は

『うる星やつら』からきちんとしている少年誌作家なのでして。

 

23巻にて最期が訪れてしまった夏野さんが

菜花ちゃんに与えている愛情が

大大大好きなのでありますよ!!

 

同じ術属性を有し鍛えたい弟子であり

死を覚悟した時にもう一度会いたい

と願う相手であり、仏頂面のほうが多い

タイプの女性が死に際に微笑み、

記憶を共有する相手に「生き甲斐」とまで

評されるの、夏野さんの大地のように

広い愛情に涙するしかないのだぜ……!!

 

とっくに肉体は滅び、もう何も「生み出す」ことは

ないとされる薬師の女性、というのも

ポイントとして大きいのですよね~。全く失礼な!

夏野さんが与えたものを誰も「否定」できないんだよ!!

死した以降も力になってくれる、加点要素しかないお人です。

 

るーみっくお得意の「情念」の女性

(正確には後述表現になりますが)も

豊作なのですが、アニメだと私の一押しである

芽生さんの出番まではたどりつかないかなー、どうかなー。

 

《助けてほしいと手を伸ばした時、人間は

応えてくれなくて、魔と契約した女の子》を

描かせたら天下一品の作家さんでありますが

今作の芽生さんの腹のくくりようは見事なので。

万人向けの救済など来なかろうとも

満足して彼女は逝くんだろうな。

 

『笑う標的』の梓さんは演出は怖いんだけど

本当の意味で怖いと思ったことないんですよね……

だって悪いのあいつらじゃん()

まあ犬は完全にとばっちりでしたけど←

 

そんな読者なので『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

沙代さんが刺さるのは当然と言えましょう。