イノウエの作品、全6巻予定。
とんちき時代劇空間の江戸が
舞台の作品なのですけれど。
(キャラデザで明確なのいいね!!)
主人公の恋模様、恋のお相手の復讐譚、
通りすがりの人物とのご縁、敵役たちが
過去から積み重ねてきた複雑怪奇な感情、
ラブコメのサンデー基準のサービスシーン、などなど
これだけ特盛りのネタをタイトル通りに裁き切るのは
作家の力量だ――!!という満腹感がすごい。
最終巻は7月発売なのですが
既刊含め購入してしまったのだ←
以下、感想です。
片方に寄りかかるのではなく、背負い込むのでもなく
真っ当に対等な男女バディカップルが成立する物語が
主人公サイドで堂々と描かれるの、すごくありがたかった……!!
物語の舞台は江戸、ということで
私たちもよく知る名称や土地が登場するものの
なんなんだその露出っぷりは!?という和服に始まり
異国装もじゃんじゃん出るという
「作りもの」感が濃厚なビジュアルを押す一方で。
自分とは違う他者だからこそ惹かれるし、
すれ違う、という丁寧な人間模様が
積み重ねられてのクライマックスなのでした〜。
主人公のまつりちゃんは恋する乙女ではあるものの、
大好きなヨノくんが復讐に生きている状態を
好ましいとは認識しておらず、彼が主人公に恋していると
自覚して告白しようとも、《その恋情ならいらない》と
はねのける精神的な強さを備えているの、花丸であった……
(物語の展開としてはえらいことになっているのだが!)
少年の復讐譚の決着としても見事なので
初恋の人をひきずるショタがお好きな方にはおすすめですが
(この薦め方はどうなんだ?)(実はもう一人いるんだけどね)
復讐相手への想いが変わり、命を助けようとする場面でも
「許す」とは口にしないの最高であったね……!!
ヨノ「だから今テメェが変われ!!」
「一生かけてこの国の為に生きて死ね!」
「だがお前を一生許さない人間がこの世に居ること、」
「忘れるな!」「人を軽んじるとはそういうことだと、」
「心に刻め!!」
サンデー基準のサービスシーンが
ちょいちょい挟まれるので、合わない方は
合わないと思われますが。作者さん、女の子の
柔らかさを描線で追求するのがお見事なのと
サンデー作家陣ではすけべえカメラアングルが
自然なほうなので()慣れれば大丈夫でした。
私の注目は健全な精神の持ち主に向いているので
主従コンビとか、くノ一疑似家族は好きなんですけど
敵役サイドの複雑骨折感情については……
生まれついての権力者とその犠牲者、迷惑すぎる!!に
なってしまうのですが、刺さる方には刺さるかもですね。
ちなみに私の担当キャラは読者コメント欄でも大人気の
佐々木殿である……人気投票も上位だな、きっと←
彼ならきっと京都で素敵な奥方に巡り会うのであろう……!!