『邪神の弁当屋さん』

 

イシコの作品、既刊2巻。

 

基礎画力がずば抜けている作家の手で

厳選された、少ない描線で

最大限の効果を発揮している絵柄が

素敵なのはもちろんのこと。

 

日々思索を繰り広げているであろう主人公、

無礼な発言と自覚したその瞬間に

謝罪の動作ができる成人男性、の描き方に

おやおや!?と読み進めましたが、

最新話まで選び抜かれた台詞で

進行するので、読んでいて安心なのでした。

 

与えられたものを、どう「世界」に返していけるのか、と

日々考えている誠実な生き方は、作中の台詞を借りるなら

《背筋が伸びるような思いがする》のですよね……

 

以下、感想です。

 

 

 

連載枠争奪戦(という表現でよいのか??)の

企画で発表された短編なので

初回の完成度がものすごく高いのですが。

 

その時点で明かされていた・伏せられていた

物語の要素がどんどん広がっていくので

アプリで一気読みしてしまったのでした~。

 

ダリアさんがオムライス食べられなくなったのは

どうして?とかその辺も《物語に必要》なら

やがて明かされるのであろうが、あんまり知りたくはない←

 

モブの無礼野郎はさておき()主人公の

レイニー筆頭、名前のある・身近な皆さんは

他者を思いやる行動が「自然体」でできる人ばかりで

(ここに至るまでに色々失敗しただろうことを含めての自然!)

ストレスフリーなのであった~。

 

ぶっちゃけライラックの旦那がめちゃくちゃ

かわええお人だな!!という青年でして←

邪神に対しても・弁当屋に対しても

まず「敬意」がそこにあるという人なので、その先を

この人が望むなら「報われて」ほしいな~という

外野目線と、物語がそれを望むとは思えないぜの

分析目線の混在で、受容の感情が忙しいのでした。

 

第3話に登場する《たまごが食べられないお客さん》は

ちばてつや賞受賞作の短編(リンクはこちら)の

主人公さんでして、読むとまた味わい深くなるのでした。

こちらも、ものすごく素敵なお話なので

単行本2巻に収録されてうれしい――!!

 

☆☆☆

 

建物や植物を眺めているだけで楽しいという

見事な画面処理の作品なのですが、

不思議生物たちの描写がものすごくいい……!

 

チュンちゃんもベルちゃんも

激かわなのである~!!

魔物がちゃんと「生き物」なのいいね!!!

 

私は女の子と不思議生物の

組み合わせを愛好する民なのですけれど。

 

主であるダリアさんを侮辱するクソ野郎に

三秒以内にかみつくベルちゃんに対し、

私が愛好する理由、それだよ!!と

喝采を送ってしまったのであった←

 

大事な存在を守るため、攻撃技を瞬時に

炸裂させるの、人間には無理なので←←

(逆に不思議生物連れてる女の子が常時無防備だったり

まして性加害を受けたりするの、魚雷迎撃対象表現です・爆)

 

若い子の肩を持ち、直に座られるのを喜ぶ

チュンちゃんも好きである……

若くないけど、座っていいですか!?