「萩尾望都SF原画展」

 

東京・武蔵野市立吉祥寺美術館にて

4月9日(日)より5月29日(日)まで開催。

入場料、なんと100円です。

告知を知った時から楽しみにしていた展覧会!

先日やっと行くことができました。

(そしてこれ坂田靖子展でも書きましたけど、

恐竜博まだ行けていない……来週の予定ですが・汗)

 

GW明け、5月6日(金)より

一部展示入れ替えがあるのとのことなので

もう1回は行ってこようと思います。

(その場合の感想は追記扱いになるかと)

 

現在発売中の『萩尾望都 SFアートワークス』は

こちらの展覧会に合わせた内容ともなっています。

書籍・原画展どちらが先でも楽しめますが

合わせるととてもすばらしいですよ!

 

***

16.05.11、追記しました。

入れ替え後の感想も合わせて表記しました。

また、原画展の作品目録をまとめているファンサイト様が

ありました。HPはこちらです。

***

 

では、以下感想となります。

作品の感想をまじえていくので、結構長文です。

 

 

☆1970s SF初期

ちなみに会場でメモを取らなかった取るどころではなかったので

書籍に合わせたタイトル編成ですがまあ問題ないかと。

抜けている絵がありましたら、すみません(汗)

 

・『あそび玉』

原画が失われているとのことで

予告カット・裏話以外は復元画を展示。

SFは絵だなあ……というコマ割がすばらしい。

 

・『6月の声』

少年主人公の物語につき、少年への対比として

ヒロインの髪と衣装の繊細さ・透明感が

ちょっと恐ろしいことになっています……

原画の前ですでにまぬけ面をさらしておりました(汗)

 

・『精霊狩り』

SF原画展という告知を知ったときから

予告イラストにはないこの作品はあるのだろうか

ずっとずっと気になっていました。

だって!初めて萩尾望都作品ですから……!!

(数年前に作品で感想をつらねたブログ記事がありますが

そちらを合わせて読む……必要はありません・笑)

 

前期で扉絵は全て展示。

あと本編で印象的なページが何枚かありました。

ミュージカル仕立てコメディということもあり

線の印象は力強いです。海の波が印象的。

 

入れ替え後に各所大人気の「助手A」の精霊解説が

くるのかどうか、正座待機ですね……!!

***

以下、追記。

助手Aの追加はありませんでした。

残念……(笑)

***

 

・『キャベツ畑の遺産相続人』

こちらも大好きな作品です。

1枚しか展示していなかったので

もっと見たかったなあ……!

ポージィおばさんがいなかったよ!!

 

ボードにてあらすじ紹介がなかったのは

おそらくわざとでしょうか?

説明しようとすると結構困りますよね。

 

・『ユニコーンの夢』

宇宙空間にいっぱいの星の描写と

繊細な衣装がとても印象的な作品。

作中のユニコーンがかわいらしいですけれど

私はあの生き物の属性があまり好みではないので

おもしろいな、と眺めていました。

 

・『1ページファンタジア』

1枚絵の構図で物語る力がすばらしい。

書籍の望都さん解説によると

作品にならなかったキャラクターもいるとのこと。

大好きなポージィおばさんを発見!

 

・『11人いる!』

続編の柔らかなカラーはとても好きです。

お話はあまり歓迎できませんでしたが……おお四世よ!!

書籍化の機に後年描かれたイラストも素敵ですね。

フロルはどの絵でも生き生きと描かれていますね。

作者お気に入りのキャラクターとのことで(ヌーも同じく)。

 

タダの凛とした強さとまっすぐさが私は好きなのですが

「無個性の優等生」かあ……

モー様キャストだと確かに動きにくい役属性ですけれど。

他キャラで動いているほうが確かにいいかもなあ、悲劇路線は。

 

コメディタッチの「スペースストリート」も

ちょっと見てみたかったです。

あのゆるやかな線で見られる

11人のキャラクターが好きなので……おお四世よ!!(二回目)

海外版コミックの中身もちょっと見せてほしかったですが

やはり反転されているのがまずいのかな?

 

・『スター・レッド』

『精霊狩り』と同じくものすごく楽しみにしていた作品!

何といっても私の萩尾望都・四大作品ですから!!

ペーブマンの言葉に反論する術を

私はいまだに見いだせないのですけれど

ふと思い出した時に考え続けるのは良いことなのでしょうね。

 

第一回冒頭カラーページを

見せてくれたのが嬉しかったです!

レッド・セイがかっこいいですよ……!!

二色原稿って私は見るの好きだなあ。

マンガ本編における作家さんの色使いの楽しみという点では

フルカラーよりも好きかもしれないです。

 

望都さんはもちろんカラーも美しいけれど

白黒原稿のほうがずっとずっと好き

というのは『スター・レッド』の印象が強いからでしょう。

宇宙空間の「いっぱいの星」は本当に素敵で

絵だけをずっと眺めていた子ども時代を思い出します。

 

ラーダ・テトラの記憶に感応する場面の

星の黒髪つやベタなどもとても繊細で

ど、どういう技術なのだこれは……!!と原画前で慌てますね。

エルグのあの名場面は入れ替え後でしょうか……

誰か一人選んでほしいと言われましたら

私は彼にすごく思い入れがありまして。

 

メリーベルを失ってやがてアランも失った

エドガーはひとりぽっちになってしまったけれど

彼の断片は次元を越えてエルグに宿って

星を見つけてあの言葉にたどり着いたんだね……!!

 

という私以外の方には意味不明な台詞を

叫ばずにはいられなかったりします(爆)

「救い」を見いだせるかどうかも

私が萩尾作品でSF推しなのが大きいかもしれないですね。

***

以下、追記。

ラーダ・テトラの場面に代わり

星の「火星に帰りましょう……」が

追加展示となっていました。

エルグが見たかったなあ……などと思ったりも。

見たい絵が多すぎますので、入れ替えありますよ!

という展示もなかなか悩ましいものですね(汗)

***

 

・『フレア・スター・ペティコート』

ペティコートの中には宇宙が広がっている……

この小作品は全ての原画を展示でした。

 

☆1970s・1980s コラボレーション

・『百億の昼と千億の夜』

わあああああ阿修羅王の原画に

出逢える日が来るとは長生きするものですね──!!

萩尾望都四大作品のひとつなので大歓喜!

後年の描き下ろしも含め、阿修羅の魅力に溢れていました。

 

少年誌に合わせて多少タッチを変えたということもあり

私が同じ作家さんの作品だと繋ぎ合わせるのが

遅くなったのはその関係かもしれませんね。

まだ作者名が読めませんでしたし。

 

ところで阿修羅王は「少女」とのことですが

指摘されると確かに胸もありますけれど

足の力強さ等々私は「少年」でもあるのかな、という認識で

最終結論は多分どちらでもなかろう、だったのですが

とらえ方は自由でいいようです。とても有り難い。

 

・ブラッドベリ傑作選

ピンク色の使い方が印象的なカラーが多かったです。

なぜだろう……?ブラッドベリも読み返そうかな。

作者が好きな作品をマンガ化するということで

彼女の自由次元コマ割が遺憾なく発揮されている印象。

他のページももっと見たかったですね!

 

・ハヤカワSF文庫

表紙・挿絵ということで1枚絵の魅力に溢れた

意欲作が多かったです。

絵自体がとても大きかったな……

ドラゴンの絵がとてもユーモアにあふれていて素敵。

 

・『∀ガンダム』

まさかこれが展示されているとは……!!

とネットで感想を見たときにちょっと驚いたのです。

望都さんの描いたロランやディアナ様素敵なんですよね……!

出逢えて感激しました。

 

・『ピアリス』

挿絵なので印象的な1枚がたくさんありました。

謎のロボット(?)殿が気になるので

作品を読んでみようと思いましたら

書籍化されていないとのことで……

当時生まれてすらいないのですが

これは復刊サイトさんあたりに希望を出すのがいいのかな?

 

☆1980s・1990s SF中期

・『銀の三角』

カラーイラストでは「青」が印象に残りますね。

そういえばこの頃から大陸のはざま・東アジア圏の

ひらひら衣装が増えていく印象が強いです。

 

望都さんの作品は常に旋律が響いている印象があります。

ミュージカル作品仕立てではなくとも、無音すらも音楽。

宇宙空間では音は響かないとの話もありますが

時間も空間も全て越えて届くものもあるんだな、と

彼女のマンガ空間を眺めていると思うのです。

 

・一角獣種

一角獣種たちのシリーズはとても好きです。

感情を持たない種族と「判断」されてしまう

彼らが人々と紡いでいく物語は切なくも美しく、そして優しい。

 

カイトとモリのカラーはとても好きです。

彼らの物語がハッピーエンドだからということもありますが。

ポニーのページが見たかったかなあ……

泣くんですけれどね、ええ。

トリルのカラーイラストが美しく神々しかったです……!

本編なくて助かりました、絶対泣いた。

 

トリルはそれはもう鮮烈な印象を残した少女で

私は彼女が発した言葉も起こした行動も全部覚えていて

それらが間違ってなんかいないって信じてるんですけれど

でも生きて幸せになってほしかったんですよ……!!

というような文章を打ちながら泣いており

 

彼女の物語を記憶ではなくページで読み見返した日など

一日中泣き暮らす自信があります()

そもそも初めて読んだ日にびっくりして

そこで単行本止めた覚えがあります(小学生でしたけど)。

 

続きを読んで、成長したモリと出会った少年カイトの物語が

ハッピーエンドであることはひとつの救いであり

トリルとモリは出逢うのが早すぎたのかな

でも逢わなかったらモリはどう成長したのかな

カイトを救うことはできなかったのかな

結局泣き暮らすはめになるのですね……

 

・『モザイク・ラセン』

鮮やかにボーイミーツガールという王道

なんやかんやでめでたくハッピーエンドということで

この時期のSF作品では読んでいてとても楽しい作品です。

そしてまっすぐなヒロインがとってもかわいいですよねえ……

 

彼女がヒーローにデートに誘われて見せる

うふふふふという不気味な笑顔がその通りすぎて

ああでもかわいい──!!と毎回なりますv v

なんだかんだで萩尾望都作品の女の子大好き……

 

・『マージナル』

舞台はほぼ砂漠であり、だからこそ

水の存在が印象的なカラーが多いですね。

アシジンは鍛えられた良い身体だなあ……

この作品はメイヤード長官が印象深いです。

(なぜ手塚治虫スターダムシステムの

名優ロックがいるのだろう?という疑問を含め・汗)

 

彼が渇望していたもの……最後の言葉……

なぜこのような場所にいるのかが集約された

名場面だなと思っています、が……

ナースタース嬢の気持ちを考えるとですね……

***

以下、追記。

『マージナル』はほぼ毎回カラー扉だったせいか

展示数が少ない?という印象もありますが

私としてはモノクロ原稿をもっと見たかったな!!

という感想となってしまいます。

 

望都さんはやはり「マンガ空間」の魅力が

突出している方という認識ですので。

キラは第1話から「美しい」のですけれど

やはり女の子っぽいなあ……

***

 

・『ハーバル・ビューティー』

望都さんのピンク遣いって

かわいいものもどきっとするものもどちらも良いなと思います。

掲載雑誌に注目するとやはり合わせているのかな

という感想もありますね。

 

・『あぶない丘の家』

コメディ色濃厚ですが、ベースは本格SF。

カラーのみで白黒原稿はありませんでしたが

アズ姉ちゃんが見たかったなあ……!!

あぶない未来少年もですね!

 

萩尾望都スターダムシステムオールスターキャストといいますか

タダやエドガーやメリーベルは

こういう空間も合うんだな、と

ちょっと驚きの作品です。とても大好きですね!

***

以下、追記。

入れ替え後に第一回のカラー扉がありました!

宝物がつまったおもちゃ箱をひっくり返したかのような

あのわくわくどきどきが溢れる雰囲気がすごく好きなんですよね~v v

 

最後まで楽しく救いのある物語で

『精霊狩り』シリーズと並んで

『あぶない丘の家』シリーズが好きだなあ、と

改めて感じました。

***

 

・『海のアリア』

波の音と潮の香りが印象的な1枚がありました。

やはり音が重要なのだなとあらためて感じます。

 

・『西風のことば』

これは銅鏡の見た記憶……というとらえ方でも

大丈夫なのでしょうか。

望都さんの古代日本初めて見たような気がします。

 

☆2000s SF近作

・『バルバラ異界』

夢の少女がたくさんいました。

そういえばおいかけるのが結構大変で

途中で読むのが止まったままに

なってしまっていますね。再挑戦しましょうか……

 

・『トレマリスの歌術師』

単行本も一緒に展示されていましたので

人物と背景は後で合成したものなのかな?と

思いました。素敵な衣装……!

 

・『ここではない★どこか』

この頃は雑誌でぱらぱらと読んでいましたね。

とはいえ印象があいまい……

東日本大震災を期に描かれた一連の作品は

私にはあまり好ましいものではありませんでしたが

まあ、好みはそれぞれということで……

震災直後の作品傾向にはちょっと疲れたものです。

 

☆☆☆

 

ひとまず終了です。お疲れ様でした。

作品を思い出しながらですと

結構時間がかかってしまいますね。

追記にて特定作品に文章が集中する可能性が

高いのですが、まあ個人の感想ですから!

***

以下、追記。

萩尾望都×ヤマザキマリのトークイベント開催後でしたので

イベントのダイジェスト映像(約20分)が

会場外で再生されておりました。

ずっと待っていれば一周分必ず見られると思います。

 

参加された方々のまとめ・感想は

インターネットで拝見させていただいていましたが。

「SFとは何か」「好きなSFは」「SFを描くとは」

これらの話題を熱く語られるお二方の姿を

見ることができてとても嬉しかったです。

 

望都さんの中で『ゴジラ』『ウルトラマン』シリーズが

SFという認識だったのは、嬉しい発見でした。

さほど数は摂取できておりませんけれど

私が自然に呼吸できる世界はSFなんだなあ、と

お二方のお話で改めて感じましたね。

 

素敵な企画でしたので、またどこかの機会があれば

参加したいものですv v