『緋色の椅子』

 

緑川ゆきの作品、文庫版全2巻。

 

緑川作品いまだにNo.1なので

文章がわりと混乱していますね~。

 

以下、感想です。

 

 

 

王の血を引くと告げられ

王都に旅立った「幼なじみ」を

追いかけた結果、別の陛下と遭遇した

主人公が幼なじみを探し求めるお話。

 

王の権力を虎視眈々と狙う

一族に抗う「強い」娘・クレア、

雇われ人として渡り歩く

自由な武人・ドリィを始め

魅力的な人物ぞろいなのですけれど。

 

セツと陛下の「同じ人」に魅了された

男女バディ感が本当に大好きでして!!

 

焦がれるような執着は

性別にかかわらず「恋」と呼べるもので

それはセツがルカに、陛下がルカに、

ルカがセツに、キラがヨダカに、etc、と

向けている感情なのですけれど。

 

物語が終わりを告げたあとの

陛下とセツの間には恋ではなくとも愛があり、

どんな形にまとまっても一緒に

生き抜いていくのだろう、と信じられる語りが見事。

 

作中で男女恋愛の醜悪さもきっちり

描写されているのが、本当に好き~。

与える愛が何よりも強い、ということも。

 

あとがきの作者によるキャラ評が

受けた印象と変わらないのは

稀有な作家さんなのですよ、実は。