・『天人唐草』
・『夜叉御前』
・『月読』
・『シュリンクス・パーン』
以上、4つの本をまとめ買いしました。
矢口高雄『9で割れ!!』の隣にあったので目についた(笑)
読んでの抜粋感想です。どれもこれも絵がすばらしい。
※19.07.04、加筆・修正※
★『天人唐草』
表題作含め、怖い話ばっかりです。そして痛々しく、哀しい。
☆『狐女』の狐のお姉さんの表情にはひやっとしますね
ああこの人はこういう人なんだ……と。
理のような子も実際いるんですよね~。
私も身に覚えありますよ、ぎりぎり回避できたけど。
☆『夏の寓話』は絵柄からして『メタモルフォシス伝』の頃?
なにげない日常、そして現実の見せ方がすばらしい。
花火の場面から泣きました。
★『夜叉御前』
☆『鬼来迎』のお母さんはあれかな?
母親の役割をすることのない女性。
育ちも良さそうだし、子育てしてない気がする。旦那さんが全ての人。
妊娠も旦那さんが喜ぶからうれしい。出産も、子どもの成長も。
その夫が子どもを助けようとして死んだ……
息子なのに溺愛ではなく虐待の方向に走るのはこの思考なのかな
いや、理解できないのですけれど。
☆『海底より』は安徳天皇がかわいい。知盛がかっこいい。
平家の亡霊の話が今の世にも数多く伝わっているのは
やはり感じとる人がいっぱいいたんでしょう。
私も下関に行って、壇ノ浦の近くを歩いたときは色々思いましたし。
あそこは風が違う。子どもの頃は海辺に住んでいたので
潮の香りとかすごくなつかしく思ったのですが
それ以外にもひきこまれる感じがしました。そこから離れたくない感じ。
霊感の全くない私でこれなんですものねー。
☆『夜叉御前』は一枚絵の見事さにつきます。
一コマで全てを描く力ってマンガ表現では大事では。
コマの大小を問わずにね。手塚治虫、水野英子はそれが秀逸。
複数コマを使ったていねいな描写も素敵ですが
両方使えると無敵だと思う。
★『月読』
☆『木花佐久夜毘売』がすごく好き!
これがあるから買ったようなものですよ、こういう相手がいたら幸せね。
この次の二編は子どもの形をした化け物の話だったので
封印しちゃいました(汗)
だって一読でコマ割まで完璧に覚えてしまったのよ。
登場の場面でこれはやばい!とわからせてしまうのがすごい。
性別が女だとますます怖いですね。魅入られる恐怖……
☆『月読』は古事記だなぁ、うん。
あれを訳文で読むとなかなかすごい表現にめぐりあいます。
★『シュリンクス・パーン』
☆『パニュキス』の絵は知ってました。
そうか、こういう展開をするのか、さすがですね。
ネリーの想いはきっと誰もが抱えるもの。
私も失った時の中の少年を探してしまうのですから。
絶対に見つからない、自分のエゴだとわかっていてもね。
☆『パイド・パイパー』は幼女の誘拐殺人が題材です。
子どもを性的暴力の対象とするのは近年の話ではばく
大昔から、おそらくは人間が人間になったときから
行われている行為なのではと思っています。
もちろん大多数ではなく、私は異常者だと思いますけどね。
神隠しでいなくなった子どもたちって、色々な場合はあるでしょうが
たぶんそれの被害者もいるんでしょうね。そして社会から抹殺される。
闘うお母さんが主人公なので、一応ハッピーエンドです。
☆『鏡よ鏡…』は白雪姫が題材ですね。姫と魔女の絵がいいのです。
雪ちゃんが変身したときの、いじめていた男の子の反応に笑いました。
あ、やっぱりそうなんだ。
かわいそう、ぷぷぷ、みたいな(思春期の少年ごめん)
☆☆☆
この方は「現実」を描くことができるのですよね。
男も女も生身で現実の姿をしている。
ハッピーエンドの話を否定はしないけど
人物の中身がしっかりしていない場合は絵空事にしか見えないです。
あと自分が年をとったせいかなぁ?
以前ほど「鬼女」の話が怖くなくなりました。
怖いんだけど、分析する余裕があります(笑)
結局鬼って人間がなるものだからなのでしょう。
ちょっと理解もできたり(男性にはめちゃくちゃ怖いと思いますが・汗)
『夜叉御前』の場合はあれで正気でいろと言う方が酷。女の敵ですね(怒)
今でも怖いのは化け物の話。とくに子どもの形だと怖すぎる。
理解不能で得体の知れないものに対する恐怖。
とくに生理的恐怖を伴うものはね。