『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

 

レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス出演。

 

目当てはコスチュームプレイでしたので(時代物万歳!)

内容にはさほど期待せずですが、そこそこですかね。

一回見る分にはおもしろいです。

 

監督はスピルバーグ。彼らしさ全開ですね。

好きになれないのはやはりこれのせいか……

宣伝からしてもうちょっと楽しい映画なのかと思っていたら

すんごい悲しい気持ちになる映画だった、詐欺だ!

 

以下、ネタバレです。

 

※19.07.04に加筆・修正※

 

 

 

ほめる部分から行きましょう。

 

コスチュームプレイの部分には満足しております。

レオくん演ずるフランクの制服姿、かっこいいですよ。

女性はやはりこの時代がきれいかな~、品が残っていて。

出てくる女の子がみんな美人さんばっかりでしたね。

髪型と化粧のせいもあるかな?

 

小切手や身分証明書偽造の場面にわくわくしてしまいます。

そして彼は本当に頭がよい、よすぎるくらい。

転校した高校で臨時教師になりすます場面とか、痛快すぎます。

立ち振る舞いなどを模写できるのは才能ですよね。

FBIの捜査官との直接対決からの逃げ方とか、すごいですよ。

 

☆☆☆

 

そこそこ楽しんでみることができましたが

はてこの映画は、どのジャンルに属するのでしょう?

コメディにしては切れ味が鋭くないですし

シリアスにしては練りこみが足りない。

 

FBIの人の部分はコメディ、かねぇ?

まず、トム・ハンクス演ずるおいちゃん

公共の場で拳銃をふりまわすんじゃないよ。

みなさんいかにもな登場の仕方をしないでくださいよ。

どこぞのマンガのKGBみたいですよ。

 

それにところどころの場面の演出が、ん?なのですよね。

札束の動きが見てすぐにわかるCGだったり。

印刷所の場面とか、なんで小切手が宙に舞うんでしょう。

 

あと延々と家庭崩壊の場面を見せられるのが何とも。

最後までひどかったし……あれはピーターパンですね。

フランクの捨てられたさまよえる子どもとしての面を

前面に出したかったのだとしてもね。

あちらこちらで見せるフランクの切ない視線はよいのですが

もうちょっと演出に工夫がほしいところ。

 

あの母親の部分は創作なんでしょうかね?ものすごくいらっときました。

脱税なんてしでかした夫と結婚したのは間違いで

私の人生台無しだ、と思っているのだとしても。

結婚は共同責任。夫の弱さを見抜けなかった自分の責任でしょう。

この人は暴力もふるっていないし、自分にできる最善のことをしているのに。

 

浮気の仕方とか、離婚の段取りとか、下手すぎる。

男を家に入れるなよ、ホテルとか色々あるだろうに。

あんな自白同然のふるまいをしたら、思春期の息子がかわいそうだ。

 

自意識を持って浮気、というか本気で恋しているなら

絶対にばれないようにふるまえるものですし

ばれたからといって、おたおたしたりなんかしない。

息子にごまかしながら、口止め料渡すとかひどい。

 

浮気の相手だって、金持ちの手頃な男だったから

受け入れたようにしか見えないです。

というかそうなんだろう(怒)

 

☆☆☆

 

この映画はスピルバーグ特集の一つとして放送されました。

ラインナップ見るとすごいですよね。

タイトル知らない人間はいないんじゃないかな?というものばかり。

でも恐ろしいことに、全体として「好き」な作品はひとつもないのです。

「パーツ」褒めならなんやかんやでできるのですけれど。

 

彼は本当に、観客を意識して作品を作っているのですよ。

全然意識しないのもそれはそれで問題あるかなとは思いますが

彼の場合、こんな場面が見たいだろう?この構図で見たいだろう?

次はこうなるんだから待ってるんだよ

という意図がはっきりと見えている。予告もしっかりなされている。

その通り画面が動いていくので、驚きがないのです。悪趣味も多い。

 

私がスピルバーグの作品

ある程度の評価は出来ても好きになれないのは、このせいですね。

 

同年代の監督だとジョージ・ルーカスがいますが

二人の違いが一番あるのはこの部分なんじゃないかな。

ルーカスは自分のほうを向いて作品を作っている。

自分がいいと思う物を作って、どうかな?と聞いてくるタイプです。

話の練り具合が足りなかったり、悪趣味な場面が出てきたときなど

見てがっかりはするけれど、腹は立たないものなのです。