『釣りキチ三平』第64巻~65巻

 

週刊・月刊誌双方にて

丸十年にもわたる長期連載作品も

ついに最終章。

 

長い物語の締めとして

国会議事堂へのデモ行進を

持ってくるの、この方『ガロ』の

作家なんだな~としみじみ思うのです。

 

以下、感想です。

 

 

 

★最終章「釣りキチ同盟」

三平くんの手紙を受け取った

魚紳さんによる、冒険の日々の

振り返りから始まりますが

初登場・魚紳さんの面影は

完全に消えてるな←

 

この季節になっても

この状態の鮎が釣れるのは珍しい!と

釣り人たちが不思議がっている中

一平じいちゃんが旅立ってしまったことを

三平くんは独り、帰宅して知るのです。

 

一平じいちゃんの葬儀の

準備パートが丁寧に描かれる中

三平くんを思いやる人々のコマが

切ないのであった……

愛子姉ちゃんお久しぶりだね!

 

人前で泣いてはならない、と

ブランコを用意した一平じいちゃんの気づかいも

魚紳さんがヘリコプターで駆けつけてくれれば

飛ぶんだなあ(この場面、親子の再会より幻想時間が長い)。

 

すでに土葬準備でお母さんの骨と対面してるし

あの年でひとりぼっちになったのであれば

決壊するのも当然であります。

まわりにたくさん心寄せる人がいてもそうですよ……

 

魚紳さんを好きな女性は

わりとぞろぞろ登場した印象ですが

怖い顔だった頃()正々堂々と抗議した

愛子姉ちゃんを好きになってたのは、読者も納得。

(突然生えてきたラブ展開!とか言わない!!)

 

海外遠征編が始まったあたりから

寝かせられていた()状態の

三平くんの行方不明・父親問題についても

呪いのウキ事件で登場した釣り名人が

その人である、と明かされるのです。

 

色々抱え込んだ三平くんによる

釣りをやめる、道具を全部捨てるという

一連の行為についても、魚紳さんは

《水をこわがらない子》に育てようとした

一平じいちゃんの想いを語り

あまり動じないの、愛が深いですね~。

 

釣りキチ同盟の集会にて

今まで縁のあった釣りキチが

世界中から集うのは最終回ならでは。

彼らは今もどこかで釣りをしているのです。

 

 

★読切「鮎」

矢口高雄の商業誌

デビュー作にあたる作品。

 

白土三平を心の師とした

基礎画力はすでに圧倒的ですが

まだまだ「慣れ」てないんだな~と

思わせる台詞回しやコマの運びなのでした。

 

自らの口で語ることはほぼなかった印象ですが

そういえばご本人も就職してから

高校生の娘さんにひとめぼれでしたっけ。

後の奥さまこと、ユリッペのモデルの娘さんです。