『バーフバリ 王の凱旋』

 

実家帰省中にそれとなく鑑賞しました。

インド映画を見ること自体が久々な気がする……

昔見たのは結構渋めのお話だったこともあり。

 

昨年話題になっていたのは存じていましたが

・昔の王様のお話

・かっこいいヒロインが出る

くらいの情報しか又聞きしていない状態で

うっかり二作目から見てしまったため

頭の中を???が飛び交うことになりました。

 

あれだ……「神話時代」の王様とか

インドの古代叙事詩モチーフとか

そのくらいは構えておくべきだった……

まして50年代ハリウッド大作のような

古代戦争を当時の「現代」倫理観で組み替えた話

とかそういう構えではあかんかった……

(ポリコレ的にポイント高いという感想を見てしまったからかも)

 

その後に一作目を見たのですが

私としてはそちらのほうが

英雄譚としてわかりやすく

物語にすっと入りこめました。

 

2作合わせての感想は

一作目の感想の最後に文章入れておきます。

 

以下、ネタバレです。

 

 

 

☆映像

英語表記が出てくるので

ハリウッド資本入ってるのかな?

 

衣装がじゃんじゃらじゃんじゃらで(語彙力)

見ていてとても楽しかったですv v

あちらの王様たちのベースデザインもいいよね。

 

歌が入るのも好き。群舞もきれいです。

イメージ映像がど派手でいいなあ!

バーフバリ賛歌(勝手に名前をつけた)は

映画を見ているうちに覚えますね。

 

インドだと王族関係の生き物で

象さんや牛さんやライオンさんや馬さんが

大活躍するのも嬉しいな!

大きくて強くて美しいものは大好き!!

 

戦いの場面では基本的に

動物が無事かどうかはらはらしてました。

これはCGだから大丈夫!とかね。

 

アクションをスローモーションで演出するのは

昔の早すぎてどういう動きをしているのかわからん!

カンフー映画とか大好きなので(ジャッキー派ではある)

あんまり好きではないのですが……

 

スロー再生はな……こっちでしつこくやるんだよ……

映像でスローにされても嬉しくないんだ……

このあたりのこだわりは監督さんによるので

同じ趣味の方がアクション映画撮ると喜びます。

 

以下、キャラクターのお話。

 

 

☆バーフバリ(父)

ヘラクレス型の英雄でした。

育ちが良すぎる故のあほさ加減……

主に恋愛の勘違い……いいね!

 

でも古代だと「開拓」がすごく重要なので

ヘラクレス型英雄の存在は

ものすごく大切なのですよね。

庶民は……庶民は重労働で体壊すんだ……

 

 

☆カッタッパ

「奴隷」ということは階級は「スードラ」かな。

彼が特別なのかもしれませんが

他のスードラの人々の描写があまりないので

特別感が伝わってこないのが残念。

代々忠臣の一族(クシャトリア)、くらいがよかったのでは。

 

「主人」が誰なのかはわかりにくいのであるが

その国の最高権力者で良いのだろうか……

でも即位した王様より、最終決定権は母親が上なのかなあ。

 

彼にとってのバーフバリとは

その父なのだ、という示し方は好きですが

今後はどうなっていくのだろう。

道が分かれたら楽しそう(げすい趣味)。

役者さんの演技はすばらしかったです。

 

 

☆バーフバリ(子)

今までのは壮大な回想だったのか!という

視点で見てしまったのは

やはりまずかった気もする。

 

あそこまでそっくりだと

因縁の相手には悪夢でしかないが

じーちゃんもそっくりなのだろうか?

 

 

☆バラーラデーヴァ

前作見ていないので、最高権力者の実子が

王位を継げなかった経緯がつかめず

どこに欠点があるのか、と不思議であった。

 

憎い男とその妻への執着ぶりとかは好みなので

個人的にはもっと無茶してほしかった。

せっかく古代(?)なんだし

手ごめとかはらますとかできるんじゃんね←

 

最後のむきむきっぷりは

ドラゴンボールを実写で見られるとは……となるなど。

役者としてのキャリアはこちらのほうが

バーフの人より上なのかしら?

 

個人的には死んだのもったいなかった。

黄金像を壊すのは賛成なのだけれど

よくわからないうちに死んでた息子が

もうちょっとがんばるとかして

命からがら逃亡→永遠の復讐者ルートでも

よかったのではないかと思っています。

 

 

☆ビッジャラデーヴァ

彼が王様になれなかったくだりが

わからないので、ちょっと盛り上がれず。

てかこの国の王位継承権については

どういう流れなのか気になったよ。

奥さんのほうが王の妹と思ったら違ったし。

 

謎の望遠鏡(ソーラービーム兵器にあらず)にて

心臓麻痺を起こして退場とかでもよかったのでは。

あんまり大物ではなさそうでしたので。

 

 

☆シヴァガミ

そもそもなぜ彼女が最高権力者なのか

その土台がわかりませんという

始まりからつまづいていてすまんという。

 

インド神話は異母兄弟姉妹の婚姻は

可能でしたっけ……

10代の頃ちまちま読んだけど忘れてしもうた。

確かエジプト神話の王族は父娘とかも全然OKで

王族の女性経由の継承権だったかなー。

そのへんで血の濃い女性=特別とかだろうか。

 

といった裏づけを考えてはみるものの

もしかして結婚したかったのは

先王のほうなのだろうかとか

余計なかんぐりをしてしまうので

過程の描写をもうちょっとしっかりしてほしかったな。

 

まあ次のお姫さんよりはましなんですけど。

役者さんの目力すごい、踊り手出身とかかなあ。

 

 

☆デーヴァセーナ

……かっこいいヒロインとは彼女なのだろうか?

いやまあ、色々な方面で

強いヒロインではあったのですが……うーむ……

 

元々狩猟民族が起こした歴史の浅い小国なのだろうかと

(でもインドのカースト制度は絶対だよね)

(あと武芸達者な女性はもらい手なくなる発言は変だ)

色々裏づけを考えてはみても

「クシャトリア(王族・士族)」にしてはなんというか……

 

てか内乱の原因はほぼ彼女じゃありません???

というぐらい頭悪くてびっくりした。

何かあったら大変なことになるのヴァイシャの庶民ですよ……

 

嫁入りした王族女性が夫をそそのかして内乱あおるのは

復讐心で国を滅ぼすというような

大いなる目的があるからではないのだろうか。

(「奥方」の基準が黒澤映画の『乱』のため)

 

せっかく魅力的な悪役の王様がいるのに

女VS女で内乱になっちゃったんですよ

みたいな流れになったのがすごく残念だったねー。

 

もっとこう……男のどろどろ政治劇的な話を見たかった!

このへんは韓国映画のほうが上手そう、という偏見←

インドは宦官いないんだっけ?宦官のいる

中国やトルコの王族ものだとやりやすいんだけどなー。

 

次、全体的な物語のついての

お話に参ります。要求が高くてごめんね!

 

 

☆シナリオ

娯楽大作としては申し分ないできなんですが

ポリティカル・コレクトネスに配慮しているのが

関係しているせいなのか、逆にどーも居心地悪いところも

ありましたので、そのあたりについて。

 

私、古代とか中世とか近世が舞台の時は

たとえ創作物語であろうとも

男尊女卑とか身分制度とか民族差別とか

その辺の「ニュアンス」を

残してほしいほうなんですよね。

 

本筋に関係ないのであれば

しつこく描写する必要はないのですが

そこが丸っきりなくなってしまうとやはり

???となるのであり。

 

差別が「あった」ことはまぎれもない事実であり

それがある前提で社会制度が動いていたことも確かで

「なかった」ように描かれてしまうと

その中の動きについても違和感が出てきてしまうので。

(現代についてはひとまず脇に置きますね、ふう)

 

今回の話を見ていて特に気になったのは

・女性を物扱いするのは良くない

・痴漢で落とすべきは指ではなく首

この2点の描写です。

 

いや……古代どころか近世でも基本的に

女性の身分が保証されるのは

「誰か」の所有物だからですよね???

よほどのことがないかぎりはそうだよ。

 

「我が偉大なるマヒシュマティと比べ

小国とはいえ一国の王女に対して

そのような妻問いは無礼なのでは?」では

いかんかったのかなあ。

インド作品は聞き取りできないので

細かい部分は違うのかもしれないけれど。

 

痴漢処刑のくだりについては

まあ自分も性犯罪者に対して

首を落としたり、ミンチにしたり、酸で溶解したり

といった表現を使ったことはあるし、ぶっちゃけ好物なので

(こうして羅列すると自分でも引くな・汗)

わりとぽかんとしたというか……ええーという。

 

今回の作品は古代(?)なので

何がひっかかっていたのかというと

あれが「公の裁判」だったというところに

やっと思い当たりました。

自分が採用した時も「私刑」扱いだったので。

 

そう「公」でやられては困る。

そして「何故」バーフバリにとっては

無罪なのかを、知りたかったんだけどね。

 

「私は小国とはいえ王族の娘」とか

「私はあなたへの貞節を守ったのみ」とか

からの流れなら、まだわかるんだよ……

支配階級、その所有者を侮辱したということになるので。

 

あとあの場面で物語の要として描きたかったのは

痴漢の首が飛ぶところじゃなくて

「主人公とその妻が振る舞いを批判され

王族を追放される」という部分ですよね。

 

妃が指を飛ばす

→取り調べ所で主人公が首を飛ばす

→裁判の場で追放処分が下る

 

ならシヴァガミさまの国の長としての

立派な態度・尊厳も守りつつ

生首というエンターテイメント要素も見せつつ

色々おさまるんじゃないかなあ……とね。

 

自分の好みの表現であっても

ぞんざいに扱われると好きじゃないんだなーと

発見できましたね、という脱線になりますが。

 

この2つが顕著だなあとは思ったのですが

「発生する要のイベント」に対して

「穴埋めしていくエピソード」が

もうちょっと練れそうなのになあと感じてしまうのが

アクションやCGに手間暇かけている分、残念でした。

大作とはいえ、尺がなげえ……と思うのもこのせいかと。

 

現代の観客をちらちら意識しているのか

していないのか、わからん!的な創り手の視線が

私はストレスに感じてしまうほうなので……

 

いくぜ古代!飛ばすぜ、生首!!

男尊女卑でカーストは絶対なんだよ、ひれ伏せ!!!

その中で主人公は特別な存在なのだ!!!!

というようなノリで押し切ってくれるほうが

正直ありがたかったかなあ……