水樹和佳子の作品、電子版全15巻。
物語の舞台は古代日本となりますが
作家の既存作同様、SFとなります。
集大成と言える作品ですね~。
『はみだしっ子』『グラン・ローヴァ物語』と合わせ
個人的・少女マンガ三大聖典のひとつ。
以下、感想です。
赤子から成長した透祜ちゃんより
ちょっと上の年ぐらいの時(ほぼ小学校低学年!)に
読んだ作品ということもあり
ざっくりまとめてしまうと「宗教観」に
大きな影響を与えた作品となります。
もし「本当に」その人が必要としているなら
殺人・自殺といった社会的には事案となる行為も
「悪いもの」ではない、と認識しているのは
この作品が大きいのですよね~。
ちゃんと考え抜いて選べる個体はそうそういないけど!
そういう個体に対し、社会が生存権を認めるかも別だけど!!
作中に登場する固有名詞は漢字渡来前のため
あくまでも作者が訳したもの、
「嫉妬(「おとこへん」に書換)」という字はありません、
といった注釈があることによって
読みやすさが抜群によかったですね~。
めんどくさい男キャラは嫌いだ!!!となったのは
ほぼ比々希のおかげさまです。
那智やお頭は大好きなのだが←
青比古さんもまだ大丈夫なほうだが
かの人もグレアム族なので、同族嫌悪は
あるかもしれないのです。成人だからまし。
違った気づきを得ることはあっても
読みの方向性は子ども時代から変わらないので
(鷹野はいまだに萌えないとか・爆)
(鬼幽さまをお慕い申し上げているとか・爆)
(透祜ちゃんに那智が与えてる愛情が好きとか・爆)
必要なものはずっと変わっていないのだな、と思うのです。
一族郎党皆殺しに代表されるような
血みどろ描写を避けて通ることはできないのですが
性暴力については直接表現ではないので
子どもに読んでほしいな、と心から思える作品です。
以下、作品本編ではなく
作者に対する意見となりますので
しばし空けます。
☆☆☆
電子化されたのは2010年代のことですが
寄せられたあとがきを見て、そのまま受け取るのは
ちと危ないな、という印象がありました。
いずこの土地であろうとも、旧い神々にまつわる思想では
同じ「場所」にたどりつくのだなという実感が私にはあり
近代西洋思想(つまり植民地帝国思想だな)に
限定することをせず、外国・日本に分けてしまうのは
それこそ作者の批判する二元論であろう、と。
有名どころではエジプトやギリシア、
メソポタミアも多神教文化圏でしたので……
長岡作品の安心感は、追いやられた旧い民や神々が
古代日本に限定されないところにあったのだと
間をあけずに読むと気づいてしまうのでした。
そういえば《自ら去っていった》と
まとめてしまうのも、支配層にとって
都合の良い方向性ですよね……