長岡良子の作品、全15巻。
いわゆる飛鳥時代を中心に
新宗教である仏教、大和朝廷に追いやられた
旧い神々・土地の人々の物語を織り交ぜつつ
語られる歴史ものです。
とはいえ『春宵宴』は平安時代ということもあって
ほぼ別シリーズの印象ですね……
『華麗なる愛の歴史絵巻』シリーズが正確か?
『暁の回廊』は別タイトルですが
派生シリーズになるのかもしれません。
(こちらの感想記事作成が15年前で冷や汗かきました)
以下、感想です。
短編が好評につきシリーズ化した作品ですが
序盤はオリジナルキャラ中心ではあるものの
藤原不比等を軸とした歴史ものとなっていくので
高校時代、大変お世話になりました……!!
天智系・天武系の天皇系図
一時期は全部覚えていましたよ、
さすがに今は忘れましたよ!
・藤原不比等は天智天皇の種である
・天智天皇と天武天皇は同母兄弟ではない
といった、わりと奇想天外寄りの
俗説を採用してはいるのですが。
響きが美しく繊細な台詞回し、
主観を誰とするかで違った景色が広がる政治劇、
関係性がどんどん変わる恋愛もの、
大陸の影響が色濃く残る衣装や調度品、
大気に力が満ちていた頃の自然風景、などなど
大好きな要素がたくさんあるのです~!!
史実寄りだと『夢の奥城』と
穂積皇子がいるお話は好き……
年の差カップルは年下が押さないとね~。
そして妖怪や悪魔といった異形の存在は
新興宗教に追いやられた旧い神々なのであり、
新政府に都合の悪い存在は使役される、といった景色は
古今東西どこにでもあるが「抗うべき」ものなのだという姿勢は
主に古代エジプトを中心とした『ナイルのほとりの物語』シリーズでも
貫かれているので、作者さんには信頼を!寄せている!!
異形の存在寄りであれば
摩由璃さんのお話はどれも好きなんですが
『昏い月』が刺さりました……!!
(なぜなら安土のあの男が登場するので~)
島国である我が国は、帰化してくれた人々の
母国の知識や文化に影響を受けているにも関わらず
ちょくちょく異人差別の描写が差し込まれるの
決して当たり前の批判表現ではないんだよなあ……と
近年のフィクション傾向に思いをはせてしまうのです。