『ゴルゴ13』第1巻~21巻

 

さいとう・たかをの作品。

 

最初は55周年キャンペーンで入手した

55巻までの感想記事にする予定だったのですが

名作と名高い「海へ向かうエバ」の

衝撃がすさまじく、一度切るのです。

 

もうネーム、覚えちゃったんだけど

紙の本欲しい~。

 

以下、感想です。

 

 

 

劇画の第一人者である作家が率いる

プロダクションが送る問答無用の傑作。

 

私にとってマンガと劇画の違いは

「台詞が一息で読めるか否か」なので

文章がとにかく読みづらいわけですが

だんだん慣れてくるのです←

 

女子ども含め、登場人物の死亡・拷問・強姦率高めという

暴力に満ちた世界でも、読み心地は快適なほうです。

これは、さいとうプロの頭領であるさいとうさんが

世界情勢の分析精度がかなり高い描き手である、かつ

「人権」をめぐる戦いに冷笑的まなざしを向けない、

というのが大きいのである。

 

まあかつて、劇画の最先端だった作家陣は

左派思想の扱いがきちんとしておりましたから……

特に女性を虐げる行為に「嗜虐心」があると

描かれてるのよいな~。加害者は全員、死んでくれ(わりと死ぬ)。

 

主人公というよりかは狂言回しである

ゴルゴ13ことデューク東郷は

その容姿により「有色人種」差別を受ける場面は

多々あるものの、金を出す依頼人に忠実な暗殺者故

特定他者・思想のヒーローに非ず、というエピソードを

定期的に織り込んでくるのも見事ですね~。

 

紀元前からの偏見は、いつの世も現役という現実世界ですから

レイシストがレイシストとして描かれている限り

その思想・言動自体を封印してはならないな。

クソ野郎は人種も年齢も宗教も関係なくクソ野郎です。

 

☆☆☆

 

21巻までだと

白夜のお姉さんとか

暗殺者相棒の盲導犬とか

魔笛モチーフのお嬢さんとか

要するにベタなメロドラマ風味の

お話が好きだったりするわけですが()

 

エバさんのエピソードの演出がさえわたっていて

来世とか別世界では結ばれるんですよね!!??と

ファン・不安レターが飛び交ったであろうことは想像がつく。

 

さっさと夫婦になっていれば

互いがターゲットになることもなかったろう……

(そういう他作品は大量にあるのであった!)

 

いつもなら作中ノルマ的な濡れ場もしっとり描かれとるし、

最後まで仕事人の義は通した上で

童心に帰るエバさんはとても美しかったし、

ラストのスコープ画面、すごくいいよな……