『ジュラシック・ワールド 炎の王国』

 

初日に観てきました、こちらの作品。

原題が「FALLEN  KINGDOM」なので

「王国の崩壊」や「滅びの王国」あたりが

意味合いとしては当たりなのかな、と。

 

予告編での告知が二段階だったとは感じていて

第一報で観た幼少期ブルーや

島の恐竜たちのシークエンスはとても好みだったのですが

第二報で明らかになった

偽ブルー関係のパニックパートが

嫌な予感がするぜ……という具合でしたので。

 

ちょっと構えて鑑賞を始めたのですが

序盤でツッコミモードに切り替えることになりました。

出来としては二部作だときれいにまとまっただろうに

どうするんだろう、これ。闇鍋を食べた気分……

というのが正直な感想です。

エンドロールで帰るか迷いましたよ(アニゴジ二作目よりは虚無感ないですけれど)。

 

リブート版『猿の惑星』を鑑賞した後だと

人外を扱ったSF作品への要求内容が上がってしまうのも

致し方ないとはいえ、ほんのちょっとだけでも

楽しめる内容だったらいいのになと感じてしまいました。

 

さて、長々と感想を始めます。

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

簡単なあらすじ。

 

テーマパーク「ジュラシック・ワールド」での

事故から3年。

元々火山島であるイスラ・ヌブラル島は

活動期に入り、恐竜を救出するか否か

人間たちは選択を迫られていた。

 

恐竜保護団体を組織していたクレアは

ハモンドの盟友であったロックウッド氏の

ロックウッド財団に委託され

恐竜たちの救出に向かうことになった。

 

特にブルーを救出するには

彼女の育ての親であった

オーウェンの力が必要だ。

 

恐竜たちを救うため向かった島で

彼らが見た景色とは──。

 

 

★物語

折りたたむ前に書いたように

二部作なら一作目の疑問を整理しつつ

私の観たいお話でまとまったと思います。

 

恐竜たちをあの島から連れ出すのは無理

完全に隔離された土地などあるのだろうか

いずれ滅びの道を選択するしかない

人間が勝手に生み出した命

彼らに目一杯生き抜く自由はもちろんある

ただ直接手を下さなくとも、滅びに委ねるのも

また人間の責任であろう、と。

 

恐竜たちが人間世界に解き放たれてしまったことで

一体これどーすんの、三作目はどの方向にするの

と、疑問符浮かべながらエンドロールに突入。

『猿の惑星』路線はリブート版も傑作三部作で

まとまってるので、三作目でそちらにしても

いい印象が残らないと思うよ?

 

あと全体的に懐かしテンプレート要素が

多かったせいで、集中が阻害されたり

パニックパートがあまり怖くなかったりと

もったいない感がありました……

 

 

★映像

ラプトル四姉妹の成長記録や

恐竜たちが死んでいくところ(複数回)は

本当に反則だと思いましたよ、ええ!!

 

私、録画したら絶対にここだけは

保存しておくんだ……と思える

映像がいくつかあったのは救われましたね。

てかラプトル四姉妹だけでいいや←

 

火山の噴火から逃げる恐竜

港に取り残され溶岩の中に消える恐竜

檻の中で虐待される恐竜

オークションで売り飛ばされる恐竜

毒ガスから逃げようと扉に集まる恐竜

このあたりはまあ、一回見れば十分ですしね……

 

 

★音楽

エンドロールで真っ先に流れたパークのテーマが

レクシィの名場面のパートだったのは

そうですよね!!と頷かざるを得なかった。

 

新種ちゃんが気に入らなかったせいか

彼女(?)のテーマもあまり好きではなかったです。

ジアッキーノはいいお仕事しますね……

 

この方が指揮するウィリアムズ音楽が

本当に好き。演奏会やってほしいです。

 

 

★オーウェン

やっぱりクレアと「普通のカップル」として

上手くいってないよね。うん、知ってた感が

某宇宙戦争の密輸業者とそっくり(爆)

 

この二人はこういう距離感で

末永く続いてほしいなあ、と思ってしまいます。

 

麻酔銃で撃たれた後

溶岩から転がり逃げて

火山の大噴火から走って逃げて

レクシィの口撃をくぐり抜けて(以下略)

オーウェン、本当に人間……?を

更に上に行く展開が待っていた。

 

 

★クレア

ピンヒールは健在のようで

嬉しかった女主人公。

前作からのパワーアップ感が

はっきりしていたのは彼女だったかもしれません。

 

前作でもピンヒールで戦い続けて

FSSの女騎士かな、この方……と

思っていたのですが

新種のばっくんこで脚に穴空けられた後

見せ場で銃を構えていたのには驚きました。

 

オーウェンは軍人だけど

あなたは一般人だよね……?

どうやってここまで来たの……やはり騎士だったのか。

 

 

★マルコム

個人的にはなんで人気があるのか

よくわからない旧作キャラ。

台詞はしっかりしてるけど

エリーさんにセクハラしてたの、私覚えてるんだぞ!

 

今作でも冒頭と最後をしっかりまとめていました。

私も火山に運命を任せるべきだとは

感じてしまいますね……

 

 

★フランクリン

作中で名前が覚えられなかった人。

 

ぶっちゃけ、お前なんでここにいるの

悲鳴上げてる暇があったら仕事しろよ感が

凄まじすぎて、あ、これ、ツッコミモードで

見たほうが苛つかないですむわ、と

切り替えられたという点ではありがたいキャラクター。

でもいなくてもシナリオ進んだんじゃね……が酷い。

 

前作のローリーはオタク系統でも

ちゃんと物語のアクセントになってたんだけどなあ??

 

 

★ジア

お仕事している貴重な新キャラ。

(というか新キャラがみんな「役」だけに終わって印象薄い)

できれば次作にも出てきてほしいです。

ブルーの治療パートが好きです。

 

 

少女は最後にしたいので恐竜に移ります。

 

 

★インドミナスレックス

なぜ恐竜に関してこの子の感想から始めるのだと

ツッコミが入りそうですが

まさか機龍二部作での初代ゴジラ枠とは思わなかったんだぜ!

てっきり検体は保存済だと思っていました……

 

最後にお骨をレクシィが粉々に踏んでくれたのですっきり。

もう悪用されることがないことを祈るのです。

この子が平和に生きられる世界を

創るのが私の夢ですが、難しいですね……

 

 

★レクシィ

要所要所でばっくん芸を披露していた

旧作からの大スター。おばあちゃんは元気です。

でも今回はまずそうな人間ばかりで

気の毒だったかも……ヤギはいいけどね。

 

予告編の映像って血を盗んでいたところだったのか……

というのが一番の衝撃だったかもしれません。

レクシィに竜乗りできるのは

クレア姉さんだけなんだぜ!!

 

 

★モササウルス

竜生満喫している感がすばらしい大海獣。

冒頭、あんな明るい潜水艇で

モサ子のいる海うろついて大丈夫なの?

と思ったら、やっぱり大丈夫じゃなかった。

 

最後のサーファーとのカットは

イメージ映像だと思っていたけど

本気の予告だったのか……困ったねえ。

 

 

★ブルー

思ったほど見せ場がなくてちょっと残念だった

前作のメインヒロイン恐竜。怪我してたからね。

 

レクシィの血をゲットして

彼女はますますパワーアップしたのでは!

彼女が大地に立つ姿は

この後どうなるんでしょうねえ……と少し不安です。

もう島ではないので。

 

 

★インドラプトル

なんでもう育ってるのかが不思議なんですが

年はいくつなのでしょう……

3才よりは下ですよね。

 

彼女(?)が初登場時に女の子の髪なでしたり

檻に入ってきた獲物に対して

カメラアングルでしっぽを動かしたり

にまにま笑っているのを見て

すげえ!作りもの感が凄まじすぎて

人外キャラに全く見えない!!と

怖さが完全消失したのが思わぬ驚きでした。

 

軍人さんが檻に入るパートとか

うーむ、怖そうだから目を閉じようかと悩んだのに

しっぽと目で、この子ギャグ担当かよ!!と

完全に切り替わったのはありがたかったですが。

次見たら、爆笑できる、断言できる。

 

あとは子どもが悲鳴上げ続けるのも

嫌な奴でも嫌な死に方するの延々と見るのも

やっぱり好きじゃないなあ

と再確認できました。ソフトの時は早送りじゃー。

 

どうやったら死ぬのか謎でしたが

串刺しは最強だと改めて思いました。

もう出なくていいよ……いいよ!!

 

 

★メイジー

予告編で小さな女の子がいることが

とても嫌でしたが、うーん、微妙な役でした。

 

私は映画に出てくる、危険な目に遭っても

子どもだけで何とかしていく

同年代少年少女に対し共感するよりも。

監督やスタッフは子役にこんなことさせたいんだな

子どもにこういうことを期待してるんだな

という視線を向けてしまう、嫌な観客でしたので(爆)

内容が酷いとね……出来が良ければ!一緒に冒険できるんだけど。

 

スピルバーグが80年代から示していて

JP以降おおっぴらにできるようになってしまった

子役が大変な目に遭い続けるためのシナリオ進行となっている

パニック・特撮映画は嫌いなものが多かったです。

特に自分が幼少期の90年代が酷かったです……不快でした……

 

この件についてはおのれ、スピルバーグ!としか感じない。

『宇宙戦争』の恨みは、一生祟ってるでしょうしね!!

(原作に「いない」主人公の娘を戦場に投下した件について)

 

そして彼女に与えられた役は

「パンドラ」ではあるのですが

そこに「希望」は残っているのでしょうか……

 

溺愛はしているようだが、孫の主張を聞こうとしない祖父

過去の母親の写真、の場面を見たあたりで

もしかしてクローンで死んだ娘を再生したのか??

とは思ったのですけれど。

 

彼女は実験体として育てられたわけではないので

「作りものだけど生きている」を

現代作品の中で示すには、境遇がちょっと弱いかなと。

もうちょっと深掘りしてくれたらなあ、とも。

 

旧作時代にアイディアとして残っていた

「恐竜戦士」あたりのエピソードと絡めて

使えるとよかった人間の子どもだったんじゃないかなー

と、『猿の惑星』のノヴァ嬢と比べると思うのです。

 

てかノヴァ嬢は

「人」でも「エイプ」でもなく「ノヴァ」であるという

ホモ・サピエンスにとっての「キャリア」「魔女」

エイプにとっての「仲間」「家族」という

「パンドラ」としては最高の役なんですよね……

 

それをあのシリーズでは「子役」に与えたのだから

似た路線をやるならもっと練ってほしいんだよなあ。