『オリスルートの銀の小枝』

 

紫堂恭子の作品、全4巻。

 

アリアンの勉強法は

真似しましたね……と

感慨深くなるのであった。

 

以下、感想です。

 

 

 

主人公・アリアンの圧倒的陽性が大好きで

「おぞましい」展開にも作中でツッコミが入る

明るいタッチが素敵な中編ファンタジーです。

 

女性の姿になっていても当人は当人ですね……

所作は社会が要請するものだし

がさつな女の子が男性化したら

どうなったのかは気になっている。

 

作者さん曰く、最初に女性化した

主人公のアリアンが「成長」していくことで

話を転がそうとしたものの、ずっこけたので

物語の路線が変わった、とのことなんですが。

 

でもなあ……アリアンは与えることにおいて

すでに「完成」されているキャラなので

創作物語において求められる「成長」とは無縁ですよね。

(『トーマの心臓』エーリクや『はみだしっ子』サーニンにあたる)

(私は「与える」男の子が大好きだもんで!)

 

同じことが作中のディアナにも言える。

主体に回ることを自分で選択し

ふわふわなお嬢さん時代よりも

ずっと強く魅力的になった女性なので。

 

紫堂作品の、うっかりすると泥沼化する「成長」の

方向性が、自分には実は合ってないのかもしれん、と

この作品で疑問符が浮かび、『癒しの葉』で

とどめになった感はあります。

 

一番好きな『グラン・ローヴァ物語』でも

主人公は上の意味合いでの「成長」は

していないのですよね、変化はしているけれど。

 

作り手が入れ込みたがる方向性ではないため

脇役に追いやられがちなんですが

「与える」力を無自覚でも持っている主人公たちの

お話がもっと見たいなあ、好きな作家さんの手で、と常々思うのです。

 

そういえば私の母は、山田ミネコの

ファンレター返信直筆イラストをもらっているのですが

(鉛筆描きだが、上手い人の絵は光っている)

「主人公が幸せになるお話」のリクエストを

していたらしいぞ、ははっ。