『愛すべき娘たち』

 

よしながふみの作品。

とある母娘を軸にしたオムニバス短編集。

 

発表直後に読んでいたら

感想変わったかな?と首をかしげつつ

でも『西洋骨董洋菓子店』も

「わからん」ままだったしな……にて終了。

 

以下、感想です。

 

 

 

メインの母娘はとても「仲良し」親子なので

幼い子どもを「他人」として扱う母である一方

娘は「母」という生き物を好きなのだよ、と

鮮やかに開示される一話の印象が強いのでした。

 

よしながさんのインタビュー本読む限りでは

言語化をしっかり要求してくる親御さんのようだったので

ああいう関係を健全とみなすのであろうな。

 

☆☆☆

 

二話のお嬢さんがすごく引っかかっていて

いやなんかいい話風にまとめてますけど

語り手含めて「ろくでなし」ばっかりに

惹かれちゃうお嬢さんですね!!と

信用できない語り手にやつあたりしてしまう。

 

まあ……「自傷」癖のある同世代の同性と

末永く友好関係を続けたいかと聞かれれば

私も否側の個体ではあるんですが←

 

☆☆☆

 

三話のお姉さんは、もし発表が現代であれば

自分側の「事情」を説明して結婚するという

ルートもありなんではないですかね!?と

思ってしまうのですが(性嫌悪ではないようだし)

本人が「選ぶ」ことが重要なのでよいのでしょう。

 

私みたいに人間はそもそも恋愛対象ではないし

自分に「発情」する人間との同居なんか絶対いやだ、

いつか殺してしまうだろう(えー!?)認識の個体も

そうそういないと思いますしね~。

 

日本の結婚制度の活用法が変わらない限りは

利用しなさそうなのです。

恋愛にしろ生殖にしろ家長にしろ向かない。

 

☆☆☆

 

四話の友人同士の道がどんどん…

どんどん交わらなくなっていくのは

リアルだなあ……行動しない人のほうが多いのだ。

 

まあ実際、口にしている内容で

実現できるものとできないものの違いは

当人が口にした時点で気づいているものですけれど。

 

昔の思い出のかけらを

今も持っていてくれる人がいると気づいた時

ちょっと安心したりする気持ちもありますね。

 

☆☆☆

 

最終話の祖母~母~娘関係は

年を取るとまあわかるところがあるという

話になるものです。

 

とはいえ私は実際の親子関係に関わらず

他人が大勢いる宗教儀式で泣く心理とかが「理解できない」側なので

(その行為が推奨されていることは把握している)

(ASDは人間の感情や思考を擬態して日々過ごしているので)

母が死んでも父が死んでも人前で泣くことはないのだろうな。