手塚治虫の作品。
戦後、マンガ絵物語の代表作。
世界中のおとぎばなしに加え、作者の大好きな
シェイクスピア・ゲーテ・ディズニー要素満載の内容です。
男装する少女騎士、王位継承者ではない王族という点では
たしかに先駆けとも言える存在ですが、今見ると
サファイヤはどー見ても「女の子」でしかないのは
(肉体も女の子、本人の生きたい姿も女の子)
他作品に登場時、男性になることはなかったことから
作者さんも承知の上だったと思われる。
以下、感想です。
なかよし版のほうを先に読んでいるのですが
マンガの構図や描き込みは向上しているものの
チンクが役目を終えたらさっさと退場するとか
フランツが行動派で恋する少女の正体に自分で気づくとか
お話の流れは少女クラブ版のほうがはるかに良いのであった。
なかよし版はいっそ、海賊さんと結ばれるぐらいの
思い切った作劇にすればよかったのでしょうけれど
編集者・読者がそれを望むかといえば……ですよねえ。
物語が本格的に動き出したところでは
十二才のお姫様という設定もあり
後の少女マンガ作品に比べると
恋愛の盛り上がりは控えめであります。
少女を夢中にさせる大恋愛は水野英子の登場を待つしかない←
前ふりでも書いておりますように
サファイヤはどー見ても「女の子」なのでしてね。
天使が間違えて「おとこのこの心」を飲ませちゃった!から
始まる本編よりは、双子の兄が行方不明になってしまったので
王子と王女の両方を演じるはめになった、続編の娘・ビオレッタ姫のほうが
現代でリメイクするならわかりやすいと思っているんですけどね!!
なかよし版を踏襲しているTVアニメ版にてサファイアを
《完全に王子として育てられたので「男の子」自認のおてんば少女》に
設定したのは英断だったと思っていましたが
相手役をロックにしたのが敗因だったんだろうな。
男装少女の後継作品では、こちらのサファイア像が多い印象です。