『こどもの体温』

 

よしながふみの作品。

ある父子家族を軸とした

オムニバス連作。

 

作者さんとのファーストコンタクトにして

自分にとっての最高の作品。

(両翼のかたほう、ではありますが)

 

以下、感想です。

 

 

 

・「こどもの体温」

自分は連載時でこちゃんと同年代認識につき

「中学生」という、ちょっと年上とはいえ

同じ子どもに対して誠実な作家さんだな、と

強く印象付けた一本。

 

インタビュー集によると、あくまでも描きたかったのは

お父さん視点の話ということなんですが

子どもを他者として扱える作家さんは

結構レアであることを考えますとね……

 

自分の学校でも中学生同士の妊娠騒動は

実際にありまして(授業中に倒れて保健室で発覚)

《こんな大変な事になるなんて思わなかった》

子どもからすればすごく「普通」の感覚なのです。

実技(?)指導は不要だけど性教育は早い・広いほうが絶対良い。

 

 

・「ホームパーティー」

よしながさん、お料理を「する」側の人なのだと

手際の良さでよくわかる回。

 

あと調味料のお話で、ものすっげえ金持ちではなくとも

都会の富裕層(中間層上は富裕!)なんだな~と

子ども心にもわかってしまうのであった。

 

このケーキまだ作ったことがないのですが

死ぬまでにやりたいことには入ってるので

まず型を買うところからやりたいな。

 

 

・「僕の見た風景」

高校時代の部活仲間三人でドライブ中に

亡くなった男・下半身不随となった男・無事だった男を

巡る一遍。最後まで読みますと、ふ…複雑……!!となる。

 

よしなが作品に欠かせないニセタンが

登場するのには読み返すとふふっとなりますね。

障害をハンデとするかは結局「個人の資質」が

でかいの、色々と考えてしまうのでした。

 

 

・「踊る王子様」

ローザンヌの解説者によるめちゃくちゃ辛口トーク

(しかし世界のトップ目指すなら必要な視点)を

描きたかった……というお話らしいのです。

 

紘一くんがいい感じに成長しとるんですよね……

ショタコン目線だと寂しくなりますけど!

 

 

・「よくある一日」

そんないい感じに成長しているとはいえ

中坊なのでやらかすときはやらかすぞ!と

いうお話。森さんが大変べっぴんさんである!

 

紘一くんも森さんもそつなく大人に

なってるんだろうな~と思うのでした。

 

 

・「たまにあった一日」

始まりのお話と同じく

お父さん視点に戻ってくるお話。

単行本描きおろしだったと思うので

文庫版だと真ん中にくるの新鮮!