『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』

 

タイトルは「女の子」と限定されておりますが

書かれている内容に心当たりのある

男性もわりといるんじゃないか思われる。

 

「学校」という枠組みが中心となる年頃から

同性「間」で上手くやれない子どもたちは

世界中にいるんだね〜、と同族意識を持てる本です。

 

多くの人間と「仲良く」なりたくはないが

最低限、波風は立てないようにするには

どう擬態すればいいんだろうか?

正直「同性」は好きじゃないんだけど。

(「異性」が好きなわけでもない)

 

みたいな思春期を送った側は素直にうなずけるとはいえ

上手くやれる側に対する「感想」が

悪辣に受け取れる内容ではありますが

定型は定型同士で連帯するほうが平和なので。

 

とはいえ「動物」に関する認識は

間違ってるんでは?と思うので

そのあたりはツッコミを入れております。

 

以下、感想です。

 

 

 

自分は軽めのASDにあたりますが

発達障害に限らず、男性を中心に

研究されてきた分野で弾かれる女性たちは

民間で仲間を探すしかないんだな、とうなずく。

 

心当たりがあるある描写が続くのですけれど

空想や動物は好きだけれど、同性の「同年代」が苦手なので

「いい人」に依存してしまった結果、対人関係を派手に壊すし

集団内で目立つことは嫌なのですみっこに紛れてる環境が最高

ネットの縁友ぐらいのゆるい関係のみで過ごすのが良い

みたいな個体はちっとも!レアではない!!と

落ち着けるので面白いのであった。

 

並行して『トランスジェンダー問題』を読んでいたのですが

性別へのこだわりやらお洒落やらの話で

「同性」は異文化だなあ……と思ってしまうような人は

ASDを疑っても大丈夫な気がします。仲間が増えるよ!

 

個人的には、お洒落に興味がない

(服は機能・触感優先かつ同じ型をまとめて揃える)、

性別違和に関しては「両性」「第三の性」が優位、

無性愛者の比率が百人に一人から五人に一人に跳ね上がる、

あたりがすごく納得感がありました。

 

☆☆☆

 

保護犬と暮らし始めたら一気に生活快適度が上がったとはいえ

ASD女性は動物を中心に生活することが多い、

なぜなら動物は感情を読みやすい(=表現が限定されている)ので

という説明は、スルーするわけにはいかんですのう。

 

実際には動物たちも豊かな「非言語表現」を

駆使して社会生活を営んでいるという現実があり

(動物行動学あたりの本を平行して読むとわかりやすい)

動物の表現が「少ない」から居心地が良いのではなく

あくまでも権力関係が発生している「家畜」かつ

「異種族」に伝わらないのが通常故に

お互い上手くやれている、というのが正解でしょう。

 

相手の動物も一緒にいて幸せかどうかは

正直わからんのです。わかろうとするのが

人間に比べ、苦痛ではないというのが大きいが。

 

あと愛犬を通して、自分の健康や機嫌を

判断しているという面は否定できないのですよね〜。

犬の知覚情報のほうが精度が高いのだ。