『地中海のルカ』

 

文月今日子の作品。

 

表題作に加え、短編2作収録となりまして

個別に文章を書いております。

 

以下、感想です。

 

 

 

★「地中海のルカ」

ローマとカルタゴは浪漫ですね~。

下関原画展(水野英子・青池保子・文月今日子の三氏)の

三者間でもお話になっていたけど

大波が描けるのは海辺育ちの作家さんならではだな。

 

きっと成長すればべっぴんさんになったであろう

ルカをめぐる男の対立がおいしゅうございました。

婚約者さん切ないねえ……愛してるのにね。

 

 

★「野いちご白書」

「いちご白書」への返歌なので

学生運動のお話が出てくるのでした。

 

女の子がたった一人で生きていくことの

困難さ(ぶっちゃけ搾取への道筋)を

さらっと一コマで説明しているのがさすがです。

 

母親が亡くなる前から、病院の

看護師さんが好きになっていた父親とか

恋情のやるせなさよ……

 

 

★「ボタン玉ふたつ」

男まさりの主人公、上品な美女、がんばるおのこが

見事なトライアングルになっている

幼なじみトリオの青春一幕。

 

現代だったら女の子同士でもあきらめなくてよいのだが

主人公はおのこが好きなので悩ましい~。