『はだしのゲン』

 

中沢啓治の作品、文庫版全7巻。

 

戦中を知っている人々が亡くなっていく中

政府の動きは不穏であり、彼らが残してくれた

作品を「どう」守っていくかを考える日々ですね。

 

以下、感想です。

 

 

 

天皇が演説しようと、大日本帝国が降伏しようと

「戦争」は終わっていない広島で

何度でも立ち上がりたくましく生き抜こうとする

少年・ゲンの物語です。

 

東京編の構想があったそうなので

未完ではあるのかなあ。

画面に込められたエネルギーがすさまじい。

 

結局「衣食足りて礼節を知る」なので

生き延びるためなら、子どもであろうと

何でもしてやるの特盛コース……

 

現代倫理どころか昭和倫理でも止めたい行動が数多く出てきますが

(主人公も最初は反発する、という見せ方が多い)

もはや個人レベルでどうにかなる問題ではないので

こんな世の中にしないために「大人」はどうするのか

ということになりますが。

 

劇場版『火垂るの墓』への感想変化などを見ていくと

現代日本人はもう飲み込まれているのかもしれんですね、という

想定で動かないとどうしようもなさそうだ。

 

戦後都合よく転身する大人や

身元不明な子どもを搾取するヤクザや

天皇制は変わったのか?に疑問を抱かず従う教師や

アメリカの人体実験場に協力する医者など

左派右派全方位で嫌な人々が登場するのですが

「自分」は違うと言えるのか?を問われる年齢・歳月になりました。

 

文庫に収録されている解説が

Twitterに流れそうなノリ……と

書いた人を見て納得。

それに対する反論の解説のほうが面白かった!