『WILD HALF』

 

浅美裕子の作品、文庫版全10巻。

 

電子版だと文庫表紙のシェパードの写真が

カットされているのがもったいないけど

本物のシェパードが登場する話ではないからいいのか。

 

基本的にサンデー派である私の

好きな時代のジャンプ(ファンによれば

暗黒期らしいが)の代表作です。

 

あと同人媒体で発表されている作品も

一応全部入手しているので、そちらも含めての内容。

 

以下、感想です。

 

 

 

いわゆる獣人族を題材にした作品なのですが

探偵ものをやりたいのかバトルものをやりたいのか

結構謎な路線で開始し、あっちこっちにふらふらしつつ

最終的に動物を軸にした人情ものに落ち着いた感のある

わりと説明が難しい作品。

 

でも最後まで読みたい派には

人情もので推すしかないんだよなあ……

絵柄も当初は意識して変えていたと思うんですが

(デビュー作から基本の絵が変わらないタイプの作家さんなので)

路線が固まったぐらいから本来の絵に戻ってますし。

 

主人公の相棒となるサルサ筆頭

獣人族(ワイルドハーフ)の皆さんの

生活(主に食部分)が元となっている動物から

乖離していたり、バイク描写あたりなど

全体的によく言えば90年代のおおらかさ満載のため

注釈が冒頭に入るのは正解だと思っています。

 

あと普通の動物さんたちも

わりと無茶ぶりを披露してくれるので

君たちの安全は人間が確保するから

ぬくぬく暮らしてればいいんだ――!!と

読み返すたびに思うのであった。

 

絵柄がデフォルメ効いてるほうなので

こちらの作品をリアルの動物に適用する

読者は少ないのでは?と思うのですが。

 

当時の担当さんが「現実にいる犬種」を

そのまま出さないように、といった注意を

しているそうで、編集の仕事はされている印象。

シベリアンハスキーの悲劇は有名ですので……

 

☆☆☆

 

ちなみに作者さんは同性カップル愛好者につき

そういうファンが察してついていたとの話もあるんですが

メインがスーパー人外であるとはいえ

飼い主とペットでは権力関係が明確に発生するので

「恋愛」要素は全然見いだせなかったなあ。

それはポケモンでも同じ認識です。

 

連載版『Romancers』のほうは

同族同士による愛が重いな……とは思ったのだが(汗)

 

同人誌では、週刊誌連載中には

カバーしきれなかった要素が

メインとして取り上げられており

恋愛要素は最後にくっついたカップル除くと

さほどないので、わりとおすすめしやすいです。

 

お兄さんたちのお子さんが

すくすく育っている環境でも

主人公の健人くんは独身のままなのであるが

私としては美也ちゃんを推したい……

 

彼女は恋愛がなくとも自立して

生きていけるタイプの女性なんですが

親友カップル路線でくっついてくれないものかな!?

(子どもは生まれなくていいので)

(動物たちの世話をずっとしていけばいい)