『エラン』

 

新谷かおるの作品、全3巻。

 

自分たちだけの国家を作るという

志を同じくする少年少女たちが

世界各地で貿易人として活躍する

フィクション全振りのマンガです。

 

打ち切りなのはすごくもったいないけど

多分コアな読者しかつかないタイプの

作品だよな~。私は大好きだ!!

 

以下、感想です。

 

 

 

第一話から日本の自給率の低さと

貿易摩擦の原因となる輸入と輸出のからくりが

キャラクターのかけあい「のみ」で説明されていて

本当にうまい作家さんだとうなります。

 

難しいお話がすらすら入ってくる

この台詞回しとネーム構成は

子ども時代はふつーに読んでいましたけれど

大人になってからすごさを痛感するんだよな。

 

前世紀の作品につき、法律や世界情勢は

変わってしまっているので

細部は注釈が必要になってきますが

貿易における基本的な考え方は現代にも通用するので

時折思い出すと良き作品です。

 

アジア圏を重視する云々とか

本気で考えてほしいものであるよ……

 

キャラクター同士の関係性が

豊作なので10巻ぐらいは

読みたかったぜ~となるものですが

まあ世の中ままならぬものです。

 

☆☆☆

 

新谷・佐伯両氏が描く異性は

生身に夢を見すぎないリアルさと

フィクションのキャラとしての思い切りの良さの

バランスが絶妙で、読んでいて心地よいのだ~。

 

ハイ・ピンヒールの女性を「トゥ」で

立っているように描ける男性作家さんは

本当にレアなのですが

デフォルメ寄りなら新谷さんが一番だな!

 

理想の女性像ってつまり奥さんですよね???となる

作家さんであるため(わりと好きな作家陣はそうなのだが)

ばりばり働くしおしゃれも全力で楽しむし

子どももたくさん育てるよ!!というパワフルレディーに

スポットが当たるのは別世界すぎて気にならないのでした。

 

前世紀のサービスショットについても

ちょっとした描写に配慮があって印象に残るので

(たぬきいじりはするがブスとは言わない、といったバランスあたり)

読者が変質者想定でないところが好ましいのです。

 

正直、べっぴんさんのヌードは

裸になるべき状況がきちんとしてるなら

女性読者だって見たい!

公共の場では見たくないけど!!