『マンガ化!世界文学 耽美とヒロイン』

 

往年の少女マンガ家さんたちによる

世界名作文学のマンガ化集。

参加している作家は以下8名。

 

萩尾望都/水野英子/牧美也子/美内すずえ/

坂田靖子/文月今日子/山岸凉子/佐藤史生

 

これは先生だけではなく、作品の

選出がすばらしかった!!

やはり編集の仕事は大事……

 

編集者のお仕事ぶりに大満足の

図書の家シリーズ特集本に

青池保子が加わるようなので

そちらも楽しみです!

 

以下、感想です。

 

 

 

・萩尾望都『白い鳥になった少女』(アンデルセン翻案)

これは原作も、望都さんのマンガ化も

大好きな作品なので収録されていてうれしい!!

 

沼女さんにまとわりついている

へびもかえるもかわいいですね、うふふふふv v

ゆるいタッチなの、ものすごく正解であるよ。

 

アンデルセンの描く、女の子を助ける女の子が大好きで!

私は何も悪くないと頑なな主人公を

心から憐れんで、涙を流す小さな女の子の存在が

主人公の救済への道へつながっていくのがきれいだなあ……

 

 

・水野英子『サンドリヨン』(「グリム童話」翻案)

この頃の水野さんによる、華麗なるコマ枠と作画は

大判で読みたいから!全集を出してください!!となる

美しさなのです、本当に(しかも印刷復元っぽいんだよな……)。

あと生き物がかわいいですねv v

 

どのドレスも素晴らしく美しいのですが

(継母・継姉たちもきれいですねえ!)

サンドリヨンが最初の舞踏会に着ていった

ハイウエストのドレスがため息の出るほどのすばらしさ。

 

いやこれは当人の体型と所作が本当に洗練されていないと

着こなせないおっそろしいデザインだぜ!

そりゃ王子さまも目にとめるぜ!!という説得力であるよ。

 

 

・牧美也子『花陽炎』(「源氏物語」翻案)

牧さんの絵はゴージャスですねえ……

重ねトーンワークの美しさが

濃厚で大変よかったです。

 

藤壺さんは誰が描いても光る君とついの

べっぴんさんなので、花が映えますのう……

 

 

・美内すずえ『ガラスの仮面』(「たけくらべ」翻案)

初期のガラかめからは

エネルギーがあふれ出ていて、本当に好きです。

亜弓さんの美登里もすばらしかったよなあ……

 

演劇中に観客がしゃべることはできないので

みんな心の中の台詞がダダ洩れになってるんですね

と理解しているが、こういう一体感は確実にあるからのう。

 

 

・坂田靖子『お妃と眠り姫』(「ペルー童話」翻案)

どんな物語や人物を描こうとも

坂田靖子ワールドになるの、本当に好き。

 

あの描線の美しさと、ネームの緩急に

しびれますわ~。天才って呼びたい作家さん

わりと限られるほうなんですけど、この方は呼ぶ。

 

原画展にて原画売ってくれる

坂田さんのサービス精神にびっくりしました。

明らかに0が足りないのだが!!

 

 

・文月今日子『白き森の地に』(ルイ・エモン翻案)

今回新しく読めて一番楽しかった作品です。

文月さんの情緒豊かな背景描き込みが

大好きです!これが昔のマンガだよ~。

 

点描とかもやもやを駆使した筆致は

トーンワークとは違った味になるので

お好みで良いとも言えるのですが。

 

 

・山岸凉子『ラプンツェル・ラプンツェル』(「グリム童話」翻案)

現代ものとはっきり言えるのは

この一作だけですね。背景美しい!!

 

お母さんの愛・執着の方向性が

よくわからんのであった……

まあ一生わからなくてよいのだが。

 

 

・佐藤史生『美女と野獣』(ボーモン夫人翻案)

これは二色カラーで描かれた絵が

美しい作品なのであるよ!!

 

野獣さんから人間への変化は

この作品のイメージが強すぎて

ディズニー版まじで無理であった。

 

あとあれは野獣さん時のデザインが良すぎるのと

苦悩描写が足りん、というのも大きいんだろうなあ。

ステンドグラスに語られた頃から

ちゃんと変化してきたのか?を含め。