梨木香歩作品集

 

梨木香歩作品群の電子書籍化を知り

そもそも作品集ってなんだ……?と内容を調べたら

紙の本を購入しておりました。

作品集は、次の2冊となります。

 

・『丹生都比売』

・『西の魔女が死んだ』

 

どちらも装丁が素敵なので

同じシリーズで続刊出るなら

買うのに!!(紅色の、りかさんとかどうでしょう?)

 

作者本人のあとがきが完璧なので

それで感想は終了させてもいいのですが

引用後に続けます。

 

 二十五年前、自分と、自分に似た資質の女性以外の、

誰にとって価値があるのだろうと、おどおどと見つめていたこの本を、

まいの祖母の年齢に近づいた今、もう一度静かに送り出したい。

 行ってらっしゃい。

 老若男女問わず、この本を必要としてくれる人びとに辿り着き、

人びとに寄り添い、力の及ぶ限り支え、励ましておいで。

 私たちは、大きな声を持たずとも、小さな声で語り合い、

伝えていくことができる。そのことを、ささやいておいで。

 

以下、感想です。

 

 

 

・『丹生都比売』

表題作品を柱とした短編集。

単行本の『丹生都比売』は

学生時代に読みましたが

本来の形はこちららしいのです。

 

……自分は草壁くんのモノローグしか

覚えていなかったので

どこが削られたのかわからんのですが(汗)

 

他に収録された作品では

『コート』と『夏の朝』が好きです。

特に後者はこれ一冊にならないのか!?と

驚いたほどである。

 

いつも空想の中で幼少期を過ごしてきた女の子に

火の玉ストレートを放つ傑作であった。

失った女の子を思い出して泣きました。

 

物語の夏ちゃんは、春ちゃんと同じような

ガンダムを必要としない美しい娘さんに成長して

それが人が健やかに育つということなんだなあ……と

ガンダムのまま彷徨っている自分は思うのでした。

私の夏ちゃんはもう死んでるぜ。

 

子ども時代の記憶は割と

書き換えられてしまうものだ、という認識で。

自分は大人だったと思いたがってしまうので。

 

現実の周りのことはなんにも考えてないし

口もとろいし、全てにおいてどんくさい「扱いにくい」

あの子たちはちゃんといたんだよ、という物語が

ずっと残り続けるのは、救いなんだなあ。

 

小学校の先生もそちらはそちらで大変だよなーと

今ならわかるんですけどね。

自分なら絶対、自分みたいな子どもを

一律に教育する側になんかなりたくねえ……

やはり学校の目指す人間像こそ諸悪の根源。

 

はて友くんがはまってたガンダムはどれだ問題ですが

94年発表作品から逆算するのであれば

『機動武闘伝Gガンダム』が健康的で良い気がする。

この場合、作者のイメージとは別なので。

梨木さんはやはり初代なのだろうか……

 

 

・『西の魔女が死んだ』

本編はいつも泣いてしまうのですが

今回は追加のエピソードにしみじみしました。

 

犬飼いにブラッキーの話は辛いし

おばあちゃんのモノローグを知れることは

本当に嬉しいことなのです。

 

文庫本に収録されている

ショウコさんのエピソードはないので

また編集版が出るのかもしれぬ……

 

自分は主人公のまいのような感受性や分析力は

すでに中学の時には失われていたので

(どちらかというと攻撃特化型ガンダムだった)

成長した今となっては、彼女に共感することは

あまりないのでありますが。

 

小さな生き物に愛を与えること自体が喜びで

大好きと言ってもらえるのは嬉しいのだ、という

おばあちゃんの心境のほうが近いかもしれんね。