劇場版『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』

 

昨年から気になっていたものの

ちょうど保護犬を迎える・迎えないの

時期だったので、遠征には至らず。

 

公開一週目はタイミングが合わなかったので

二週目に行ってきました!

 

うーん、これは数年前の自分なら

遠征に遠征を重ねて二桁鑑賞に

到達していた枠に相当する、傑作にして

自分にとっても最高の作品……!!

まだ一回だけしか見れてないからどうしようね。

 

Webアニメ版も予習してから見ましたが

見ておいて良かった〜。

そちらは二周目も終わったので

合わせての内容となります。

 

中国アニメは生まれる前の

孫悟空が大好きだったりするけど

(白骨夫人の話で、悟空は山田さんだった)

最近のはあまり詳しくないです。

 

以下、ネタバレです。

語り足りないので随時加筆中。

 

 

 

作画は評判通り、申し分ないどころか

ものすごくよかったです……!!

最小限で最大限ってああいうのだな。

 

シンプルな描線と背景作画を土台に

この中で無駄な絵は一枚も入ってないだろうと

確信させる絵の動きが、たくさん見られて幸せ。

 

冒頭の野生動物たちの動きが

線は最小限なのに、ちゃんと「生き物」の

動きで面食らいました……あれもっと見たい。

ディズニーの誇る擬人化生き物も好きだけど

本来の生き物は最高。

 

Webアニメのほうでも、動物の作画がかなり良くて

びっくりしておりましたが(犬が!ちゃんと犬だった!!)

映画の画面で見られるのはいいよなあ〜。

 

作画は明らかにジャパニメーション影響下ですが

絵の見せ方はハリウッドのロードムービーで

大陸の強みを生かして、舞台がどんどん変わっていくのが

見事であったなあ……あと明らかに空が広い!いいね!!

 

ぐるぐるカメラで動かすことが優先になって

肝心のキャラクターの動きがおろそかになっているのを

かなり見かけておりますが、こちらの作品だと

キャラクターもちゃんと動いていたぞ……

 

でも生身の人間があれだけ綺麗に動ける

カンフーの国で、アニメの人間の動きが汚いとか

許されないだろうしな〜、などと考えていました。

 

個人的に最も気に入ったポイントは

主人公に象徴される子ども・弱者への

配慮が見事で、ちゃんと「新作」なんだと

安心できる作りになっていたところでした。

 

ムゲンさんが持っている力を伸ばそうとしてくれる下りとか

電車内で「子ども」を助けようとしてくれる皆さんとか

住民の避難に力を使う妖精さんたちとか

最終バトルでムゲンさんが「サポート」に徹してくれるのとか

すごくいい……!個人的に服を整えてあげる場面がベスト。

 

私が子どもの時に見たかったという意味も含めて

「今の子ども」たちに見せたい作品なので

地上波映画枠で流してほしい!!

 

主人公の子どもが、自分の意思でちゃんと「選んで」きたのだと

仮にフーシーとずっといることで起こった未来を予測させながら

ムゲンとずっといたことで得られた過去を振り返ることで

とどめの場面で見せるの、すごくいいんだよなあ。

 

初めて師匠と呼びかけるところは

この映画の一番の見せ場で泣きどころですが

(実際泣いている観客は多かった)

私の場合、完全お祝いモードで乾杯したくなっていたので

脳内を落ち着かせるのが大変であった。

 

お話の骨格「少年が自分で選ぶ話」は間違いなくて

それを構成する要素として

自然対人間、マイノリティ対マジョリティというのも

なんか違うかな〜という気がしていて

ミュータントが発生していることに気づいていない

『X-メン』シリーズが近いのでは、という着地に落ち着いております。

 

結局マイノリティ対マイノリティのお話なので

ゆるゆると「現状維持」がひとまず勝利側になるのは

致し方ないかな、という。現実世界のセクシャリティと違い

妖精の存在を認知させないことを優先させておりますしね。

続編があるなら、どうなっていくのかな。

 

中国はソフト文化がないとのことで

輸入盤を買うとかもダメか!?と悲しくなりまして

日本版ソフト出てほしいなあ……とごろごろする日々です。

 

個人的には吹き替えのトリオの名前を見た時

ポリゴジのトラウマでうええええとなったので

(最悪作品って、関係者の印象も悪化するからよくない)

あまり芝居には期待しないで行ったのですが

コントロールがちゃんとされていて

台詞がひとつひとつちゃんと響く、良い芝居ぞろいでした。

 

……スタッフが悪いんだな、と何度でも確信する。

あとWebアニメの印象だと

元の芝居も相当良い、と予測できるので

そちらの効果も大きかったのかな?

 

以下、キャラクターの感想です。

 

 

★シャオヘイ

主人公の黒猫さん、6才の男の子。

映画ではちゃんと確認できてないのですが

Webアニメだと、完全戦闘モードの時は

髪がとがるんだなあ……二次創作では注意だな←

 

子どもが持つにはちょっと大変な能力を備えていて

争いに巻き込まれてしまう、というのは王道ネタですが

天性の「戦う」意志を示せる子なので

あとは頼れる大人が背中を押すだけ、というのは新鮮でした。

 

自分の生まれた森が開発により破壊される時で

すでに戦おう、抗おうとする子だったので

びっくりした……強い子は大好きです。

 

Webアニメの印象だと、映画のかわいい男の子から

順調にかっこいい男の子に成長しているようなので

うふふ、将来が楽しみですね、の逸材である。

10才の姿はもう見せてもらったので

次は16ぐらいがいいかな!?(私の好みというだけである)

 

声優の山新さんの芝居が見事なので

(シャオパイちゃんも、兄ちゃんも大好き)

これは原語版で見たいよなあ……!!

 

電車の中で助けた女の子は

さすがに別人だろう、と思っておりますが

同じだったら盛りすぎだよね……

シャオパイちゃんの妖精を信じる「善性」は

どこ由来なのか気になっておりますけれど。

兄ちゃんも謎が多いしなあ。

 

 

★ムゲン

パンフレットでは年齢不詳ですが

ざっと感想めぐりしたところ

400才超えが公式設定……なのか?

(そろそろ関係者の記事探ししないとなあ)

 

厳密には違うのだろうけれど

(中国伝承はイメージの出典が偏りがちなので)

仙人さんの領域に進めそうな人間さんです。

 

普通のおじいさんよりもはるかに長生きなせいか

あまり動じない(しかし感情が揺れないわけではない)

という描写が続いていましたので

シャオヘイの絶体絶命状況下に怒りを示す場面で

ときめいている場合じゃないのにときめいてしまった←

 

それまでの積み重ねで、このピンチでも主人公なら

絶対に覚醒するだろうと、作品を信じていたとはいえ

ちょっと反省している。でも見るたびそうなりそう。

 

戦闘能力はすごいのに、専門内ですら説明下手で

料理がへたくそな、天然ぼけの

べっぴんさん……なんだ?この特盛りは??

 

物語を最後まで見届けると

この人は「嘘」をつくことが

できないんだろうなあ……とも思ったので

正直なシャオヘイと師弟関係になるのは

幸せなことではなかろうか?と思ったり。

 

100年前の弟子さんが今も生きていて

変な話になったりは……しないですか???

ちょっと心配な要素です。

 

個人的に宮野さんの声と芝居には

もっと天然ぼけの役をやらせたら

魅力爆発するのでは……?と長年思っていたので

合う役が来てよかったなあ、とほっとしたり。

 

 

★フーシー

シャオヘイとの出会いの場面から

うさんくささが満載でしたので

(人間の動きが明らかに変だったので

前情報なくても気づいたような気はしている)

真意の吐露場面でも、ショックを受ける観客は

少ないんじゃないかなあ……と良い意味で書いております。

 

物語の外にいる受け手に対しても

「裏切り」が響いてしまうのって

あんまり好みじゃないんだよね。

今一番傷ついているのは主人公なのだから。

 

一番穏当なルートでは

フーシーの言う通りにシャオヘイが

結界を作り上げる、だったのだろうなあ。

それは本当にシャオヘイの「意思」かな?

という疑念が残ってしまうとは思うけれど。

 

シャオヘイがフーシーを許していいかどうか

については、多分彼が一番傷ついたのは

話を聞かされて力を奪われたくだりで

その後はムゲンさんに向かって駆け出せたことで

傷つくことから離脱できた印象なので

当人にお任せすればいいんじゃないでしょうか。

と、ムゲンさんの伝え方に賛成派は思う。

 

フーシーとムゲンさんの追いかけっこが

本当にここ最近のお話なのであれば

もう大分追いつめられていたのだろうなあ、と思いますし

魅力的なキャラクターであったな、にとどめておく。

(私は基本、子どもに手を出す者は皆殺し派に属するので・爆)

 

途中で『X-メン』の話をしましたけれど

マグニートーさんも「好き」なキャラではないですから。

人間がとても「人間」らしかった場所の一つである

「ホロコースト」のサバイバーである彼に

人を信じろとは言えないけれどさ。

 

 

★ロジュ

キャラデザ見て、多分この人

好きなキャラだなあ、と思ったらそうだった人。

シャオヘイに強行手段を取るのを

止めようとしてくれてありがとう……!

 

とはいえあのメンバーはずっと「家族」だったろうし

作戦から離脱する、にまで至らないのは

わかるところもあるし、辛いものだな。

彼は捕まっただけだろうし

いつかシャオヘイと話ができるといいですね。

 

松岡さんの芝居はすごくよかったなあ

伊之助もよかったけどね。

 

 

★シューファイ&テンフー

氷属性と火属性強い。

ビジュアルは問題ないとして

性格のあるキャラクターとしての印象は

ちょっと弱かったです。まあ仕方ないか。

 

テンフーとあと後ほどの龍さんもですが

太めギャグ顔デフォルメもいいのが

この作品の強みかなあ。

 

 

★シュイ

キツネ!もっふもふのしっぽ!!

シャオヘイたちと再会するたびに

師匠の取り合いをしてほしい……

けんかする男女が好みです、恋愛ではないです。

 

私は四つ耳(人耳と人外耳がセットのあれ)は

絶対に滅ぼす派に属する者なので

この作品の妖精たちは大丈夫なんだなあ……

と、彼女を見て確信に至ったのでよかったです。

 

 

★ナタ

みんな大好き哪吒太子が

強キャラとして登場したぜ!

ひゃっほい──!!と見た瞬間になった人←

 

現代服でもナタさんはかわいいっすねえ

足の車輪と火属性の合わせ技は

画面に映えるし、かっこいいですねえ……

変人になってしまった、ふ。

 

彼のツッコミでふふっとなってしまった。

あれだけ立派な樹なら、素敵木材になりますよ。

 

 

★館長

有能なおじいさまが登場すると

ものすごく嬉しいです。声も嬉しい。

彼の指揮の下、住民たちを

一気に避難させるパート、すごくよかったなあ!

 

空間創造の技は強いですねという物語で

私もそれに賛成なのですが

転送の技もまたすげーんだぞ。

シャオヘイは転送技も使えるのね、というのは

Webアニメを見ていてわかったのでよかったです。