『緋の稜線』

 

佐伯かよのの作品、全25巻。

 

昭和元年生まれの主人公

胡桃澤・各務瞳子を軸に

昭和史を辿る一代記です。

 

かよの組オールキャストなので

好きなキャラがくっきり分かれます(笑)

瞳子さんは大統領夫人になればよかったのでは(爆)

 

ひととおり読みますと

・和音さん&金太さん

・笹森ちゃん&福田さん

・萌恵ちゃん&京四郎くん

あたりの夫婦が好きかなあ。

 

以下、感想です。

 

 

 

これは夫君である新谷かおる作品にも

共通している要素なのですが

この方が描く「かっこいい女性」

私は大好きです。けれど。

 

・勝ち抜いた女性にありがちな

「弱者」への当たりの強さ

・「男女平等」に対する考え方/男女差の「役割」

・強い妻を持つ男性の「不倫」への甘さ

・子どもを生むことの「必要」「愛」

 

このあたりはやっぱり

「古い」なあ……とも思ってしまうのです。

Kindle版には手塚作品等でおなじみの

注意書きがありましたが、その通りなわけですし。

『はいからさんが通る』ぐらい

具体的に書いてくれると嬉しいよね。

 

お二人の最新作は『QUO VADIS』と

『クリスティ・ロンドンマッシブ』に

なると思いますが、そちらには

あまり不満がなかったりしますので、うん。

 

☆☆☆

 

十数年ぶりの再読のため一気読みしたからか

気づいたこともありまして。

この物語の中ではっきりと「終わった」ことが

描かれているのは「終戦」ぐらいしかないのです。

 

GHQの占領時代や朝鮮戦争特需や

学生運動の動きなど

これらは昭和史の目玉ではありますが

起こっていた出来事もいつのまにか去っている。

 

GHQはいつのまにか撤退してるし

朝鮮戦争はいつのまにか停戦してるし(終戦ではない)

学生運動はいつのまにか終わってる。

 

この描き方が、なんかリアルだなーとも

思ったのです。終わりには気づかないことが多い。

登場人物たちにとって光や影を落とす出来事が

ちゃんと起こっていたにもかかわらず。

 

☆☆☆

 

キャラクターごとの感想書こうかなと

思ったのですが。

 

親の愛を疑わない主人公世代に対して

「お母さん」の愛に飢えている子ども世代が

なんか不憫だな──と思ってしまうので

箇条書きはやめました。

 

ひとりふたりの規模ではなく、連続して描写されていくので

このへんは親世代が見出している「生むこと」の価値への

皮肉とも取って良いのか悩むところではありますが。

 

子どもたちがわちゃわちゃしている頃が

私は一番好きだったりします、平和平和。

高校生のいとこのお姉さんが気になる中坊とか

おいしいはずだったのにね!健吾くん!!

(彼には夕霧くんと同じものを感じる……)