『カムイ伝全集』第一部第11巻

 

絵・演出共にどんどん劇画に

なっていくのですよ~。

タイトル章も小分けされます。

 

以下、感想です。

 

 

 

第11巻「クズレの巻」

★第1章「怪異」

タイトルに対しての作者の

語りが強い……青年誌だろうが

読者はすぐ甘ったれてしまうので←

ひっぱたいて目覚めさせるぐらいで

ちょうどよいのだろう。

 

神隠しに遭ってしまった少女が

何を見たのか?という謎は

伏せられてまま続く……

 

木の間党の首領は変装したカムイではなく

竜之進だと信じていいのか!と

彼の拷問場面を見ても信じきれないのだった。

人物紹介では竜之進なのですけど。

 

「自白」した本拠地には罠を張っており

脱出した竜之進は城の追っ手を

ほぼ全滅に追い込むのであった。

やはりカムイなのでは??

 

城代と対面で碁を指す竜之進は

領主が亡くなったこと、下手人は

竜之進と名乗る一角であることを

知らされるのであった。

城代も不思議な人である。

ここの竜之進は素顔だね~。

 

義賊としてのふるまいを見せる

木の間党への思いを民から引き離すべく

女が犠牲になるのは「効果的な」やり方ではあるが

胸くそは悪くなるのだった……

 

木の間党を追いつめるための

工作を次々としかける(働き者だなあ)

横目を脅かした謎は、少女の謎と

つながっているのかな?

 

正助とナナの夫婦は久々に再会し

盛り上がっている間、息子・一太郎が

神隠しにあってしまいますが

せめて屋内で盛り上がってくれ←

はいはいの坊やを放置しないで←←

 

そして一太郎が見つかると同時に

神隠しの正体は人食い女と

わかるのですが、おそらくは

飢饉で追われた人だろう、と

正助は語るのだった。

 

 

★第2章「鬼女塚」

江戸の大火後の木材需要に

伴う大規模伐採は、大水害を招き

堤を守るべく百姓・下人・木の間党が

一丸となって働く見開きがすばらしい。

 

横目は妨害しようとしますが

ナナさんの体を張った行動は

いつでも誰かを動かすんだな~。

 

大水害を乗り越えた村は

祭りの季節、実りの秋を迎え

幸福が訪れたかのように見えるが……

途中の正助の苦悩に満ちた顔が怖い!

 

秋が終わり、冬を迎え、次の春も

幸福が続くと思われたところで

倉が壊され、米が全て消えるという

事件が起こるのでした。そして

原因はネズミの群れであった!!

 

途中の場面で横目が見てしまったのは

移動し続けるネズミの群れで、

多分共食いとかしてたんでしょうね……

 

 

★第3章「寝地蔵」

肥料を買い付けるために

漁村を訪れた正助たちは

イカの豊漁を目の当たりにしますが、

いつまでも続く春の獲物を懸念する

老人の言葉も耳にするのでした。生き字引!

 

ネズミの群れが登場してから

村はどうなったのか過去回想で

明かされますが、備蓄はなくなり

その後干ばつとなり、厳しい季節と

なっていくのでした……

 

権力者は権力者で我が身かわいさに

百姓同士がいがみ合うように

裏工作を重ねるので、一揆が起こるのも

時間の問題です……木の間党が分断から

逃そうとがんばってくれている。

 

雨ごいが成功したと見えた中

ヒョウが吹き荒れ、綿は全滅し

正助の影がどんどん深まっていく。

 

そして今年も水害が起こり

人々は水に飲まれていくのだ……

それでも生きのびねばならない。

 

 

★第4章「飢饉」

白オオカミのカムイが

ちょっとだけ登場しますが

すぐ人間の話に戻る~。

 

家族を思い、首をくくるご老人も

泥棒をリンチした後での

麦の奪い合いもつらいな……

 

村へ戻る途中、子どもを

水へ投げる父親を見かけ

止めようとする正助ですが

「ならうぬが育てるとぬかすか!!」

台詞は重いですよ……

 

数少ない食料では飢えは満たされず

殺気立った百姓たちのいさかいから

ついに犠牲者が出てしまい、村人は

そのまま一揆になだれこむのでした。

 

止めようとしたよそ者の正助は

当然ふくろだたきとなり

竜之進もぼろぼろの正助を見て

なぜ?と問いかけるのだった。

 

 

★第5章「要注意人物」

飢饉から始まる一揆・打ちこわし、

そして敗北の波に対し、作家は

容赦ない言葉を沿えますが

権利獲得の戦いは散発的ではだめなのです。

 

百姓の生活をよろこびとするための戦いは、

武士権力支配を根底から否定し、

おのれ自身が権力を獲得するものでなければならない。

 

サエサと横目は久々に再会し

カムイの行方について語りますが

そういえばカムイ「本人」はずっと見てないな……

カムイの姉の夫である正助について

横目が語るのはずるいねえ。

 

全藩一揆を警戒する城の面々は

百姓をまとめあげられる人物を

着々と捕まえているのですが

さてどうなるかな?

 

百姓の欠落を取り締まるのも非人であり

隠し米を分けられるのは非人と他の村人であり

権力者による分断はどんどんひどくなります。

 

花巻村の面々は若きも幼きも

一揆の覚悟を決めていますが

正助だけは決めきれないのだった……

 

竜之進と苔丸の疑問もごもっともであるし

見そこなったと立ち去る竜之進に

読者も同意してしまうのだ。

 

守るものが増えすぎた結果

防御に傾きすぎている正助は

きっとみんな嫌になっちゃうよ……

 

 

★第6章「月の輪」

冒頭の苔丸、続く正助と

一人が徒党に襲われる場面にて

血みどろ暴力描写に

ページ数が割かれております。

 

正助を助けたのは忍びの小頭ですが

その人は手風であり、彼と話す

木の間党の首領はやはり変装した

カムイだよ!!渡り鳥を背景に

未来を思う人の絵がとてもよいな。

 

 

★第7章「クズレ」

一揆に向かう人々を止めようと

立ちふさがる正助ですが

しょせん一人では太刀打ちできず……

ナナとの対話後、彼はどこへ向かったのか。

 

城へ向かう一揆衆ではあるが

突如村が襲われるという事件が発生。

下手人はよその領の一揆衆という

やりきれなさ……そこで戦っている

場合ではないのですけれど。

 

百姓同士の殺し合いが過熱してしまう

というところで、仲裁に入るのは

正助であり、体を張るのはその妻・ナナさん

なんだよなあ……よその領側は逃亡に成功します。

 

しかしその逃亡に協力したのは

根っからの商売人・夢屋であり

労働力として引き渡されるのだろう……

 

締めの作者の語りを見る限りでは

竜之進が立ったのもその通りで、

カムイが時折変装しているという

読みで正解なのかな?

 

忍びは変装ばかりする状態、かつ

絵柄の変化で区別がつきにくくなったので

キャラの混乱が多いんですよ……