『カムイ伝全集』第一部第10巻

 

そろそろオオカミのカムイに

登場してほしいな、と思いつつ

出たら出たでえらい展開が

待っているのだろう……

 

以下、感想です。

 

 

 

第10巻「木の間党の巻」

★第1章「梟首」

百姓たちは一揆に向け機運を高めるのですが

支配者層は支配者層で、権力闘争に

「活用」しようとするんだよな……!!

 

城代は蔵屋に刺客を放ちますが

玄蕃が護衛としてついていたので

皆死んでしまうのだ……

 

つかまっている百姓たちは

指導者であり、統制が取れない暴動を

文字通り体を張って止めようとする

ゴンはかっこいいのである。

 

そこへ役人が皆解放するという

情報と共に訴えの書状を受け取るのであるが

果たして吉報なのであろうか。

 

長らく重用されてきた蔵屋も

時勢には負け、公金横領の罪で

拷問の後にあっさりとさらし首になるの

権力者に取り入るのも考えものであるよ。

 

侍の鷹狩りにまたしても正体を伏せて

同行するカムイですが、鷹に襲いかかって

しまった犬があっさり処分されて

何を考えているのだろうか。

 

日置藩の秘密をめぐりカムイは

手風たちに波間で逆さづりにされて

しまうのですが、まあ彼なら

大丈夫だろうさ←

 

サエサの活躍で特別なカメは

手に入ったのですが

日置藩の秘密はまだ明らかには

できていない……一体なんだろう??

 

逆さづりになっているカムイの

元にやっとたどりついたサエサですが

助けようと近寄る彼女の背中には

手裏剣がささっているのだ……

 

この章にはいつもある

小タイトルが一切ないので

不思議な感じがする~。

 

 

★第2章「蔵六陣」

倒れたサエサを介抱してくれたのは

すっかりやさぐれた面構えとなった

クシロであった……

 

サメも逃げまどう大きなクジラを

しとめようとするクシロですが

さすがに一人では厳しいな。

巨大な質量として描かれている

クジラの絵がすばらしい!!

 

日置藩の秘密が隠されている

特別なカメがエサで調教されてるの

条件付けできる生き物だもんな……

気づいた人間賢いな←と思ってしまう。

 

手風を邪魔し、堂々と姿を見せる

隼人でありますが

この人カムイだもんな……

知ってる人は少ないが!

 

人間の持ち物で遊ぶ猿の群れから

久々の白いオオカミ・カムイパートと

なりましたが、あっという間に

終わってしまう……もっと見たいぞ!!

 

手風と隼人でばらした特別なカメの

甲羅に隠されていたのは

謎の句なんですが、一体

なんなのだろう……

 

家畜の死骸に仕込んでおくことで

非人の村に食料のさしいれをする

正助ですが、ナナさんはずっと

会えてないよね、つらいね。

 

隼人と共に謎にたどりつこうとする

手風ですが、最後にひとりじめしようと

するとカムイも正体をあらわす!

忍びの戦いはすさまじいのであった。

 

とうとう明かされる幕府の重大事が

《徳川家康が賤民の出身である》という

権力者に実はあるあるを堂々と持ってくる

作家が強いぜ!そりゃあ身分制度を強化するさ!!

 

これを知ってしまった今

今まで築いてきた忍びとしての

使命はお互い果たせまい、と

二人は抜けることになるのだ。

 

 

★第3章「川ガラス」

日置藩士ばかりを狙う

謎の男、その正体は……!?

という引きですが、着物で

ばればれなのは良いことだな。

 

江戸に見知った顔ぶれが

集まりつつありますが

冒頭の辻斬りのうわさが

アテナさんにも届いてしまうのだ。

 

一角を想うアテナさんですが

人生を駆け抜けるキャラばかりのこの作品では

珍しく()恋心を秘めてしまうタイプなので

損してますよねえ……人はいつ死ぬかわからんのに。

 

辻斬りに勤しむ?一角は

腕利きの老剣士を前に

おいつめられてしまいますが

アテナさんの縁者に助けてもらう。

しかしすぐ出て行っちゃうんだよね~。

 

右近の訴え(愛の話さ~)は

とどかないままですが

アテナさんが一角と会う時間が

できてよかったよね……

 

討幕のため、立つ浪人たちも

数多くいるのですけれど、

上に立つ侍の人格ではなく

経済的な裏付け、日々の生活の圧迫が

裏にあると断言する語りが強いぞ。

 

決起する浪人たちですが

頭になっていた人物が

権力者の部下であったために

あっという間に全滅してしまうの

支配層のいやらしさ全開ですよ~。

 

坊主姿で右近たちをだましおおすも

寺に一人乗り込んだアテナさんは

見事討ち果たすのであった。

襲われる最中は痛々しいはだかではあるが

戦おうとする女人は美しいのです!

 

竜之進と名乗る一角は

ばれないため顔を傷だらけにした状態で

日置藩士たちの前に姿をあらわし

そして雪降る中風が通り抜けていく……

 

 

★第4章「傀儡」

漁村に流れ着いた一馬の

起こすいさかいの数々が

侍の坊ちゃんはなんと迷惑な!の

オンパレードでありますよ。

 

代官の「妾」になる予定の

娘さんが襲われて自害するの

哀しすぎる……一馬のせいだよ!!

 

一馬と玄蕃はついに再会し

相打ちとなるところを止めたのは

カサグレなのでした。過酷すぎる

修行でしたね……庶民には迷惑です。

 

一馬の修行につきあわされた

カサグレは殺されてしまいますが

その場面を見届けたのは竜之進であり

一団を率いる姿で幕となります。

 

 

★第5章「木の間党」

明暦の大火を受け、木材の需要が

跳ね上がる中、日置藩でも

大規模な森林伐採が続き

百姓たちは災害を懸念するのだ……

 

木の間党と名乗る義賊たちは

あちこちの商家を荒らしまわりますが

首領の正体は……となるのが

いつもの白土作品ではありますね。

 

片目の首領とは別に、木の間党に加わった

竜之進が姿を見せるため

カムイの変装がまた増えたのか()と

読者も推理を始めてしまうのだった~。

 

むつみあう男女に割り込んだ

一馬は女を寝取るわけですが

女の村の夫役免除を申し出たりと

すっかり支配者に戻ってるんだ()

 

一馬の連れ込んだ侍たちが

手あたり次第、村の女を襲うので

支配者はクソである!!という

思いが強まるのであった。

 

苦労した結果、内省を得られるのも

本人の資質だよ~、竜之進を見よ!

一方、恋人を寝取られた男は

木の間党に助けを求めるのであった。

 

絶体絶命の危機に陥る首領と共に

彼が竜之進と語られるのですが

あれ?途中のコマはどういうこと??

カムイなのにだまそうとしている???と

気になる場面で、続刊となってしまうのだ。