『サスケ』

 

白土三平の作品、電子版全10巻。

元になっているのは文庫版でしょうか。

 

最近は『カムイ伝』にがっぷりよつの

態勢で挑んでいるからか、

絵が軽やかに見えるという

映像処理のバグが発生していますが←

少年誌掲載とはいえ本格忍者ものなのです!!

 

以下、感想です。

 

 

 

少年忍者・サスケが、父・猿飛佐助に

影に日向に守られ立派な忍者に

成長していく話……ではないんですよ!

途中まではその方向だったのかも謎です。

 

サスケは少年であるが故に使えない術が多く

体を張る危険な術では友を失う、などなど

ハードな展開もりだくさんで(そもそも冒頭で母が死ぬ・白目)

彼が生まれ持っている健やかさと、忍術修行パートで何とか

物語の明るさを保っているようにも見えますね……

 

アニメ版では《サスケたちに新しい家族ができる》

という場面で、原作との分岐が発生してまして

親を失い、義理の姉を失い、形見である赤子を

ひとり何とか育てようとするものの(美少年化待ったなし!)

その弟すら行方知れずとなり、主人公は

どこへ向かうのだろう……という場面で原作は完結となります。

 

作者の反差別・反権力の姿勢は

ここでも徹底されていまして

権力者は民を支配するために

娯楽を「悪用」するといった描写も

さらりと物語に織り込まれるのでした。

 

ゲストの忍者の皆さんも魅力的で

一番好きな鬼姫ちゃんがサスケたちへの

復讐を忘れてしまうのは、全身全霊で

夢中になるものと出会ったからだ、という

お話は痛快であるな~(アニメでは改心してくれました)。

 

初読が単行本だったため

区切りがちゃんとそちらで浮かぶの、

子ども時代に植えつけられた

記憶はすげえんだ!!

 

愛蔵版も印刷がとてもすばらしく

絵を眺めるには良い本なのだ~。