岡田索雲の作品、読切集。
作中で語りを入れない作家さんのため
これはどういう意図で描いているのか
難しい題材ぞろいなのですけれど、
あとがきにて作者への信頼が
はねあがるのであった~。
以下、感想です。
・『東京鎌鼬』
いたちがものすごく
かわいく描かれている!(白目)
カマイタチに変化した姿が最高!!
完全に風刺の手法で描かれている
エピソードなので、人間なら
生々しさ前回ではあるものの
さわやかな印象を受けるのです(本当か?)
・『忍耐サトリくん』
対峙した相手の心の声が
読めてしまうため、他者と
距離を置いてしまうサトリくんが
衝撃の先生と出会い変わるお話です。
いやまあ私も心でどう思おうが
行動に問題なければよし派ですけれど
もしや自分は相当善人なのでは???と
「勘違い」させてしまう作者さんが一番怖い(ほめてます)
・『川血』
こちらのお話から当て字タイトルで
別の意味が入っているシリーズですね。
河童の夫婦の元で息子として成長した
「半魚人」の脱出のお話でした。
明らかに公安で入管の施設で異人を虐待してるのも
先生が生徒間の悪意に気づかないのも怖いですが、
主人公に救いがあってよかった。
自由は大変だけど、やはり自由なのだ。
・『猫欠』
猫又になってしまったひとを
気づかう語り手・猫さんの
つっこみが……するどすぎる!
でもどうすればいいのかまでは
わからない、あるあるですね~。
お医者さんも猫又のようなので
なんとかやっていくのだろうと思う。
・『峯落』
《山を動かす》のは大変なことで
暴力に訴え出るほうが効果的なのは
哀しいのです。「茶番劇」に対する
女たちのふるまいがとても好き。
皆さん山のものとはいえ
姿は人に近しいので
告発のくだりはしんどかったな……
・『追燈』
感想…感想か……と
一読すると数日は
ぼんやりしてしまう作品です。
圧倒的な証言の物量に対し
マンガ作品の物語の根幹をなす
コマの枠組みが押しつぶされる
一連場面は圧巻。
・『ようきなやつら』
妖怪レーダーのような寝癖を持つ
武良木さんが主人公らしい、と
気づいてからずっとにまにましてしまうお話。
単行本表題の描きおろし作品なのですが
一番最初に完成した作品、と
知ると膝を打ってしまうのです。
「そんなのクソ食らえですよ」に始まる
一連の台詞で示される、ゆるい結びつきが
心地よい世の中であるといいね~。