『シタフォードの秘密』

 

アガサ・クリスティーの作品。

 

ノンシリーズめちゃくちゃ面白くて

好きなんです~。

一冊でまとまるのもいいよね!

 

以下、感想です。

 

 

 

雪の季節は下界から遮断される

シタフォード荘に、借主である

夫人の招待で集まった人々。

 

彼らがお遊びで降霊会をすると

(こっくりさん型はどこにでもあるんだなあ……)

山荘の持ち主であり、現在はふもとの村に

滞在している大佐の「殺人」が告げられる!

 

という冒頭パートの会話劇による

お話の進め方がお見事なのです。

キャラ立てがうまい……舞台化、

映像化が多いの納得ですよ~。

 

そして大佐の身を案じた

友人である少佐が訪れると

まさに降霊会の時間に

殺されていたと判明する、のだった。

 

アリバイ崩しが必要になる展開だ!

そして登場する警部さんが優秀なので

泥棒の物取りに見せかけて部屋を荒らしてあるが

顔見知りの犯行だろう、まで見抜くのだ~。

 

そもそもなぜ大佐は夫人に

山荘を貸すことになったのか?

あたりも謎がふくらみますね。

遺言書の内容もどうかかわってくるのか?

 

少佐の元に懸賞当選の知らせと

小切手を持参した新聞記者が有能なので

特ダネとばかりに、あちこちに探りを入れ始めますが……

大丈夫か?知りすぎて消されないか??

 

警部は遺産相続人を訪ねてまわり

事件の日、大佐に会い何事もなく別れたと

語るが明らかに何かを隠している

怪しすぎる青年(犯人でないね)と対面するのであった。

そこで鮮やかにヒロインの婚約者・エミリーが登場!

 

クリスティーは快活で行動力のある女性と

善良だけで可能性に満ちているけど「今は」弱い男性の

組み合わせ好きですね……!!

 

エミリー嬢はさっそく現場に向かい

特ダネをつかんだ例の記者を

私立探偵に仕立て上げることに成功し

真犯人を見つけ出すべく動き出すのだった。

 

弱さと強さをチラつかせて

初めて会った男性を懐柔する

ヒロイン……強い!と思うのですが

締めの語りがお見事なのです。

 

「エミリー・トレファシスという娘は、なんともあっぱれだ。」

 

ここからあぶりだしとなります。

 

事情を知っていそうな人物、

都合よく居合わせた人物、というように

怪しい人々が満載なのだ~。

 

そして年若い女の味方になってくれるのが

病で寝たきりでも戦う力を備えている年長の女性、

という采配がいいな。女の連帯を信じている作家だ。

 

情報が交差する中ついにエミリーたちは

犯人にたどり着き、二度目の降霊会が行われる中

第一発見者である少佐が警部に逮捕されるのであった!

 

少佐がスキーで移動したこと、新聞記者が伝えた

懸賞の本来の当選者は大佐であったこと、などなど

トリックも動機もあっという間に解決されるのですが

ミステリー好きの盲点を突くのがさすがである~。

 

そしてエミリーと共に事件を解いた!

勝利者だ!!とうかれる新聞記者に対し

あなたとは結婚しない、と返すヒロインの鮮やかさよ。

 

女がいなくても大丈夫な男と

優秀な女は結婚してくれない……

頼りない殿方をしっかりと制御する……

クリスティーの男女観が色濃く出ているオチなのだった!!