『ラストカルテ -法獣医学者 当麻健匠の記憶-』

 

浅山わかびの作品、全10巻。

 

舞台は北海道、ある出会いをきっかけに

法獣医学者を目指すことになった

高校生・当麻くんを軸とした

人と動物の関係性を模索する群像劇です。

 

北海道が舞台ということで

「危険な」野生動物である

キツネ・クマの話を挟みつつも

生きとし生けるものたちへの

まなざしが力強く、すばらしい作品でした。

 

以下、感想です。

 

 

 

物語が始まった時は

主人公たちは高校生なのですが

ちゃんと大学受験して獣医の卵となり

研究が本格化していくのが楽しかったです。

 

方向性が違うとはいえ『動物のお医者さん』と並ぶ

傑作マンガといっても過言ではないですが、

動物たちに台詞の「あてがき」をしないといった

極端な擬人化をしなくとも、彼らには彼らの

感情や理屈がある、という描写は誠実ですね。

 

エキノコックスについてもクマについても

無知が多くてすみません……となる坂東の民であった。

北海道に出るのはヒグマですので……

 

主人公の「親友」となる茨戸くんのお姉さんこと

研究者の雷火さん(なんと寄生虫オタクだ!

腹で飼ってた猛者は実際にいるよね!?)が

野生動物に向ける色々な感情と危険に遭遇した時の対処は別、

というヒグマに対峙している弟たちを見かけて

車で突撃できる「すきな」女性であった~。

あそこでアクセル踏むのは大事、ヒグマはストレス絶大でも。

 

本筋ではないとはいえ気になったのは

当麻くんがアナウンサーを「かばって」

ヒグマに大けがをさせられた件、

テレビ局が意図的に情報隠しをしてません??

あたりですね~。何しれっと取材してるんだ……

謝罪報道とセットの企画ではなさそうだったので。

 

この件もあり、最後のエピソードにて

茨戸くんが政治家を目指す、と語るのも

だ、だいじょうぶなのかな!?と

はらはらしてしまったのであった~。