『アレンとドラン』

 

麻生みことの作品。既刊3巻、以下続刊。

第1話を試し読みしたら面白かったため

まとめ買い。こういう時の電子書籍は強い!

 

ちょっとマイナーな映画作品を愛好している

(でっかい人外のいない新作映画はほとんど見ないので

彼女が何を言っているのかはぶっちゃけほぼわかりません・汗)

いわゆるサブカル系こじらせ女子さんのお話ですが

作家が麻生さんのため、悩む時間が短い、次の手が早い!

 

若い女の子に手を出すうんちくクソジジイを

一話のうちに粉砕していて楽しかったです。

お気持ちモラハラ先輩もささっと片付けていて快適!

 

引きが気になっているので

続きも買います……!!

 

性格や場の置き方は全然違いますが

内面思考において自分が一番近いのは

エドガーさんかもしれん(なんと危ない)。

 

わかりやすいパロディ作品に限らず

元ネタを知らなくても楽しめるのが

いい作品だとは思っておりますが

あくまでもその「印象」は作品内にとどめておきたいな

とも思ってしまいます。

もし「知識」にしたいなら他情報も調べましょう。

 

以下、ネタバレです。

 

 

 

キャラクターへの感想いきます。

 

 

★リンダさん(林田さん)

映画愛好家・サブカル女子である主人公。

ちょいとこじらせ女子。大学で浮きがち。

 

ツイッター経由のオフ会でクソジジイが登場。

成り行きセックスの危機となり(この表現でえーんか)

隣人のエドガーさんに助けてもらうものの

自分の身の置き所について考え

クソジジイともう一度会うことにする。

しかし自分がやがて至る未来の姿を自覚、断る。

 

自己評価が低くて自意識が過剰で

同族がいいのに同族嫌悪

ああなんて面倒臭い

 

「変わりたい 自分が好きになりたい

趣旨は変えずに」

 

これが一回で終わる……すばらしい!!

 

大学時代の私はすでに、絶対評価と世間一般における相対評価とを

完全に別口にしている自分大好きっ子だったので

(自分は自分の造形を美女だと思っているが、世間的にはそーでもない、的な)

(心の美しさとかそういう方向にも逃げない、てかそっちはやばい)

(現在進行形故に少々痛いが、防衛には最強である)

ああいうクソジジイに好かれて嬉しかったとか

思っちゃうリンダさんの気持ちは正直わかりませんが。

 

欲しいものをちゃんと自覚して動く主人公なので

とても気持ちいいです。そして口に出せる言葉が強い。

 

「あなたは私だ 私の成れの果てだ」(クソジジイに対し)

「充満する承認欲求にくたびれきって

フェイドアウトしましたよ…」(創作サークルに対し)

「エドガーさんの迷惑には絶対なりたくないけど

あなたの迷惑は知ったこっちゃないです」(エドガーファン女性に対し)

「でも 向井さんが繊細なのは 私のせいじゃないし!!

(中略)そんなレベルで気を遣うとか無理です!」(告白してきたモラハラ先輩に対し)

 

……君は本当に私の認知しているタイプのこじらせ女子か?

いや、対エドガーさんだと苦労しているから

困ってる乙女なんだよな、うん。となります。

グッときた恋愛映画は人外・異形系のくだりは

ものすごくわかるポイントでありました。てか私の恋愛対象そっちだし←

 

 

★エドガーさん(江戸川さん)

リンダさんの隣人さん。

バーでアルバイトしちゃったりしている

まあまあイケメンのリア充。彼女は3ヶ月もたない。

 

性的指向はヘテロ自認ではあるが

女子観察が趣味故、恋愛情緒に身を任せることはせず

いつか自分が「あちら側」に行ってしまえることを懸念する

結構めんどくさい系の人だった(これぞ同族嫌悪)。

彼周辺の恋愛あれこれの台詞は見事すぎる。

 

風邪で吐露した弱い気持ちについては

「共感力の低さ」とか「普通の反応がわからない」とか

「普通の人に擬態した」とか、まあ刺さる単語ぞろいでしたね……

擬態しているつもりで全然できてないので、人の近くに寄りたくない。

 

てかアリジゴク投入はやった、逆のほうを。

祖父母宅の周りにいたアリジゴク好きすぎて

アリの足を一本抜いて、ご飯をあげるのが好きだった。

小1の自由研究をアリジゴクにしたら、先生のアタリが強くなったなあ()

エドガーさんの例え話は、どちらにも思い入れがない前提なのだけど。

 

リンダさんへの執着心はそこそこ見て取れるので

恋愛をしない、ということはなさそうではありますが

3巻の引きが気がかりであるよ……

 

客観的視点から揺れ動いた時、モラハラ彼氏になれそうな資質は

かなりあります(そういうところも同族嫌悪的なアレがある←)。

てか4巻はそうなってそうなので、先生助けて!

 

 

★タイラー先生(平良先生)

リンダさんのゼミの先生。

若い頃は自主映画撮っちゃったりしてた系とはいえ

現在は落ち着いてしまっている人。

 

2巻冒頭での主人公への恋愛相談が

至言のかたまりすぎて、すごい人。

エドガーさんをロクでもない男と認識していて拍手。

 

リンダさんとの距離感について

一番常識人のふるまいをしている成人男性のため

リンダさんに推したいキャラではあるが

年齢が……属性が……でぐるぐるしますね。ロリコンは嫌いだし。

 

先生が同年代だったらよかったのにな、のリンダさんの思考に

ほんっっっっっと、それ!!と思いましたもの。

それなら全力で応援できるのにな、という意味合いで。

 

 

★ナオミちゃん

タイラー先生の娘さん。役者志望。

夢に向かって具体的な行動を起こす同年代を前に

「語るべきことがなんもない」と思い知らされた

リンダさんが劣等感を抱いてしまう、からの。

 

オーディションで落ち込んだ彼女の「次」を

勇気づけるべく起こした行動がちゃんと伝わり

リンダさんは映画ブログを始めることになる。

役者のお話からここまでが、一回で終わる……!

 

私も「対人」において話せるような出来事が

なんもないなーと思うことはかなりあり

好きな人ほど会うのがおっくうな傾向があるため

このへんはリンダさんに共感しました。そして就活辛い。

 

自分「独り」ならできることもしたいこともたくさんあるのにね。

ブログやサイトもその延長線上にあります。

 

巻末のおまけマンガが好きです。

店長の性的指向は、いったいどれなんだで

また着地が変わってくるのでしょうが……

恋する人は(相手が危険物件でなければ)応援するのだ!ファイト!!