篠原千絵の作品、全20巻。
『天は赤い河のほとり』のような
大河ドラマを求めるのは題材的に違うと思いつつ
ちょっと肩すかしをくらった感はありました。
以下、感想です。
オスマン帝国・スレイマン一世、
かの王の寵姫となったヒュッレム、
かの王の寵臣であるイブラヒムの
三者の運命が交錯する歴史ものです。
少女マンガなので主人公はヒュッレムであり
生まれた土地を追われ、奴隷として売られる中
自分の後見人となってくれたイブラヒムに想いを寄せつつ
時の権力者・スレイマンの寵愛を受け
権謀術数うずまく後宮にて頂点まで駆け上がっていく
大河ドラマでもありますね~。
宦官が存在する(これ重要!)後宮ものは好きなほうなんですが
別に女が特別嫉妬深い・怖いのでもなく
同じ環境なら(去勢されてようが)男もそうなるし
この環境に放り込まれて、ほよよんお嬢さん・お坊ちゃんが
生存できるわけないんだ~という視線があるから好きという←
あと「権力者」の男女がクソ、と明確になるという←←
まあ宦官萌えってかなり問題ある性癖なので
あまりオープンにはしないのですが……
(児童虐待含む人権侵害だもんな……)
(ちなみにFSSのファティマも「武官」宦官と同枠認識)
宦官のいない後宮ものはどちらかというと嫌い(爆)
特にオスマン帝国における
・権力者は王の妻ではなく母
・王子が生まれたら夜伽はしなくなる
・王になれなかった王子は一族郎党皆殺し
あたりは、母親が息子を「支配」するのも
当然であるだろうし、王様が恋愛対象としては
宦官に走るのも「わかる~」と思ってしまうのだった。
宦官語りから作品の感想に戻るのですが
最後まで見届けまして、運命は交錯していたものの
これが「思惑」が交錯するお話であったなら
盛り上がったかな……と思ったのでした。
ヒュッレム・イブラヒムの三角関係
(今作では恋愛ではない)の要となる
スレイマン一世のネーム(=考えている内容)が
一切明らかにならない設定だったので
ヒュッレムの死の間際まで二者を天秤にかけたか否かすら
はっきりわからない状態だったという~。
あの二者にかけた台詞が好きなので、すごく惜しい!!
奴隷出身の女性が、貧しい女性たちのために
力を尽くすという「史実」は好きなほうだったので
そちらの魅力を際立たせるためにも
スレイマンのネームが欲しかったな!と思うのです。