『猿の惑星:新世紀』より、ブルーアイズの独白

 

感想ではなく二次創作の記事となります。

パソコン買い換えという大事件(お財布的に)が

発生したため、映画館通いを一度ストップしているのですが

最近見た中では『猿の惑星:新世紀』が大ヒットでありました。

 

あまりのすごさに感想も書こうと思っていたのに

ちっとも進んでおりません……

あと何回か見たいのですけれどね。

 

『2001年宇宙の旅』で

『アラビアのロレンス』で

『乱』という

とんでもない作品を見てしまった……

という映画ではあります。

 

一言で表すと傑作。

出来るだけ多くの人に体感してほしいです。

 

以下、公開直後からメモ書きしていた

シーザーの息子ことブルーアイズの心情をたどる

小説のような何かが続きます。

 

映画二回鑑賞情報のみで構成されているので

あやまりも含むかもしれません。

劇中の展開を含むネタバレ内容の文章となります。

最後は伏せてありますが、知りたくない方はここで回れ右ですね(汗)

 

すでに鑑賞済み、もしくは知っても大丈夫という方だけ

おすすみくださいませ。

 

 

アッシュが死んだ。
──オレだったら、熊なんか怖くないよ──
熊に襲われて傷ついた僕にそう言った、幼なじみが。
アッシュは父さんの古くからの仲間、ロケットの息子で
年の近いせいか、自然と一緒にいることが多かった。
母さん似の僕は、父さんと比較されることが多く
昔から気を塞いでばかりだったけれど。
アッシュは僕とは違って、いつも明るくて
……正直、馬鹿だった。
時々腹を立てることもあったけど
アッシュの明るさと気のおけなさは
僕にとって救いだったんだと思う。
父さんはどうして人間を信じるんだろう。
父さんは昔、人間と暮らしていたことがあると
こっそりモーリスが教えてくれたことがある。
人間と同じ空間に住んでいたのは
モーリスもロケットも同じだったけれど。
父さんは、少し違っていたらしい、と。
でも、ねえ。父さん。
人間は、アッシュを銃で撃ったじゃないか。
何もしてない、僕のともだちを。
もう来るなと、みなで警告したのに
また僕たちの森にやってきて
どうか信じてほしいと訴える。
そして人間は嘘つきだ。
銃を隠し持っていた。
危ない目に遭いかけたのは
父さんの息子で、僕の弟じゃないか。
人間が母さんを助けるからと、父さんに交渉してる。
うんざりだ。僕は手伝わない。
コバが怒るのも……当然だ。
コバは父さんの仲間だ。
熊に襲われた僕を助けてくれたのも、コバだ。
とても強い。そして父さんのことをいつも気づかっている。
コバは人間を信じてはいない。
みなを守るために、攻めるべきだと言っている。
コバの体中にある傷は、人間によってつけられたものだ。
どうして人間を信じるんだ。
コバは問い詰め、父さんと喧嘩になった……
もう父さんが自分のことを信じてはくれないと、コバは語る。
そうして僕にいった。
(人間への愛が、シーザーの目をくもらせてる)
(お前がシーザーの力になってやれ)
そうだ。僕が父さんを助けるんだ。
人間を信じても、いいことなんかない。
絶対に。
それは突然のことだった。
人間が光を手に入れて
母さんも元気になって
みなが笑っていた、その一瞬。
鋭く響いた、嫌な音。
あれは、アッシュを撃った音と同じ──……
「人間の銃だ!!」
それからのことは、あまり思い出したくはない。
父さんを撃った人間たちに復讐するため
僕たちはみなで橋の向こうの街を襲った。
鋭く響く、嫌な音が途切れることはなかった。
次々とみなが倒れていく。
あたりに広がる血の臭いと、肉の焼ける臭い。
怪我をした仲間を助けようとあがく。
馬から落ちて銃を手に取った僕は、その光景を見て。
もう一度引き金を引くことは、できなかった……
隠れている人間たちを捕まえるため
夜が明けても、僕たちは闘っていた。
僕とアッシュに向かって襲いかかってきた人間を
コバは難なく倒す。コバは強い。
人間から武器を奪ったコバが、アッシュにそのまま渡した。
お前の受けた痛みを思いしらせてやれと。
……アッシュは武器を受け取り、見つめ。
──きっと、シーザーは、望んでいない──
そのまま武器を、投げ捨てた……
アッシュが死んだ。
……コバが、殺した。
武器を捨てたアッシュの肩を、抱いたように見えた。
嬉しそうに、いたわるように。
でもそれは一瞬のことで。
嫌がるアッシュをひきずってそのまま
高い場所から、投げ捨てた。
アッシュの悲鳴が、今も耳に残っている。
──シーザーは死んだ。これからはコバに従え──
僕は……
……僕は。
檻に入れられたモーリスやロケットたちを見たあとも
僕は人間の捜索に加わっていた。
父さんに忠実だからと、コバはモーリスたちを
檻に入れたらしい。
父さんは死んだ。アッシュも死んだ。
モーリスたちは檻の中。
僕は何を信じればいいんだろう?
不意に、目に映ったのは。
森にやってきた、あの人間。
父さんが、生きていると言う。
生きている?父さんが?
この人間を信じるのか?
人間は嘘つきだ──でも。
父さんに、生きててほしい。
僕は人間についていった。
確かに父さんは生きていた、死にかけの状態で。
人間に敵意を向ける僕を父さんは止める。
父さんを撃ったのは、人間ではなく……
──コバが、裏切ったのだと。
最初は、意味が分からなかった。
僕たちはみな家族だ。
裏切った?コバが?
あんなに父さんのことを気づかっていたコバが
父さんを銃で撃ったのか……?
でも、コバが裏切ったのだと一度納得すれば
どうしてアッシュが殺されたのかも
どうしてモーリスたちが檻の中にいるのかも、分かる。
アッシュが、モーリスが、みなが
死んだ後でも父さんに従うのを
コバは許せなかったんだ。
──コバは、父さんを裏切ったんだ。
人間への攻撃は、父さんのためなんかじゃなかった……
嘘をついていたのは、コバだった。
「僕が、父さんの力になる」
それは、僕の口から
自然に出た、ことば。
父さんの力になる。コバを倒す。
モーリスを、ロケットを、みなを助け出す。
僕は夜の闇へと、走りだす。
いつかモーリスに教わった
自由を手に入れる、あの印を掲げて。