『僕のワンダフル・ライフ』

 

先日の旧・金曜ロードショーにて

放送があったので視聴。

 

犬好きに送る感動作!みたいな宣伝・評判でしたが

……犬好きなめてる脚本じゃねーのか、これ???

と、だんだん冷やかしモードで鑑賞する羽目に。

ここが映画館でなくて本当によかった!

ということで酷評しますので、合わない方は回れ右ですぞ。

 

同系統作品ではこっちが好きというのは

先に書いておきますね。

 

何度も生まれ変わる亡霊の宿命を持ち

「自分」が幸せになり成仏する猫の伝記であれば

絵本『100万回生きたねこ』。

 

昔大好きだったかつての少年と

再会して幸せになる馬の伝記であれば

映画『ブラックビューティー/黒馬物語』(1994年)。

 

番外。いなくなった大好きな飼い主に

どう向き合うかという仔犬の物語であれば

絵本『いつでも会える』。

 

以下、感想です。

 

 

 

何度も生まれ変わる主人公のわんこさんが

最後にかつての飼い主と再会して幸せになるお話。

 

高木さん筆頭、吹替陣はよかったですけどね!!

あと動物の口が動かないのもありがたい。

それが当然だと思っているので、主流にはあらがうぜ。

 

気になった点を羅列していきます。

 

・犬の世話をきちんとしている人間の少なさ

いわゆる大河ドラマ仕立てなので

波乱万丈の犬生(?)になるのは仕方ないと思うのですよ。

「嫌なやつ」といった役は必要かもしれないのですよ。

 

しかしメインの「大人」の人物たちがちゃんと

犬の飼い主足りえていないって相当ストレスになりますよ。

主人公のわんこが探し求める少年の一家からそうというのは

ちょっとないんじゃないの?となるなど。

警察犬パートはよかったですけどね、うん。

 

ご飯をあげていればいいというものでもないですし

虐待描写はもうちょっときっちり冷たく

取り上げてくれないと、反応に困るんだよなー。

 

少年がやらかして反省して良き人物になるという

イベントをスムーズにこなすには

まわりの大人がしっかりしているのが条件ですのでね。

 

昔はそういう飼い方であった、ということかもしれませんが

それは時代が現代に近いと悪手なんだよなあ……

昔の話であればまだフィルターをかけられますが。

欧米日であれば、WWⅡが個人的にはラインかな。

 

 

・生まれ変わりというよりも乗っ取りに見える

なんで今回はメスなの?という表現はおそらく

笑いどころとして採用されているのだと思いますが

全く笑えないどころか血の気が引きました。

 

前世の記憶が強すぎて(おまけに一番目の犬生ですらない)

新しく生まれてきた肉体で本来すごすべきだった日々を

奪っているようにしか見えなかったのです。

寄生生命体みたいな感じ?(直前に特撮を見ていた影響もある)

 

知っている匂い・知っている景色によって

昔の記憶がよみがえるという方向性であれば

生まれ変わりとしては気にならなかったかなあ……

 

あとは亡霊の乗っ取りである可能性を否定しない

マイナス方向の推測を残す作風であれば

逆に気にならなくなりますね。成仏してほしいじゃない?

 

さらに飼い主さんが過去の名前に

戻してしまうのも減点であった。

飼い主も生まれ変わりであるならフェアでしょうが

ファンタジーでもない世界設定で

本当に「わかる」ことはないのであってね。

 

そうあってほしい気持ちを否定はしないけど

今の姿をちゃんと肯定してあげるのが

最優先だと思いますけどねー。

 

もしも自分の愛犬がそうやって会いに来てくれたら

と仮定してもそうですよ。

幽霊が会いに来るのとは全然違うのですから。

肉体と魂がセットで「その子」なのです。

 

だから新しく来てくれた子は魂が同じでも

肉体が違う「別の子」であり

今のその子をその子として愛するのが

かつての子に対しても誠実だと思う。という個人の感想です。

 

「生まれ変わって飼い主と再会する」という

短いあらすじの中で、これってオチは

どうするのかね?と思ったのですが

浮かんだ名作群の良くないところを集めました

みたいになっていましたねー。

 

わんこたちはかわいかったので、それはよかったです。