『color』

 

峰浪りょうの最新作。

「ヤングジャンプ」掲載作品で

こちらからネットでも読めます。

 

「性欲のない世界に生きている

そのへんにいる青年のお話」(作者ツイッター紹介)とのことで

無性愛者の自分には刺さりまくる作品でした。

……仕事の休み時間に読むものではなかったな。

 

ということでブログも速攻書いているわけですが

(一応、今日アップした他記事は下書き確認だけなので)

自分語り多めの記事となります。

 

ヒメゴトも初恋ゾンビも大好きなのですけど

「恋愛」「性愛」がやはり軸になってくるので

あちら側のお話、という自分の中の視線からは逃れられないのです。

こちら側のお話、を直球で読めて本当に幸せです。

 

以下、感想です。

 

 

 

主人公の無性愛者の青年は漫画家ですが

その作品の評価は厳しいもの。

 

「みんなリビドーがすごい」

「足りないものがいっぱいある」

「”色”が感じられない」

 

この「色がない」が、全力で刺さりました。

……私の作品の評価でもこの類のことは言われたな。

色がない、華がない、艶がない。

 

そしてそれを覆すだけの情熱も努力も

何もかもが足りなかったから

プロ側には行けなかったのだ、という事実自体は

悲しくないのですけれど。それを才能というのだし。

 

「性愛」に関するあらゆる事象は

把握して対処する類のものであって

「こちら側」のことではない。

もう完全に他人事なのです。

 

小学時代にできた親友とのあれこれについては

ああ……すげー思い当たることがある……と

冷や汗をかいてしまいました。

 

おまけに私は「異性愛者」に

擬態していたということもあって

(もう自覚はあったとはいえ、子どもだったしね)

黒歴史の部分も合わせてしんどかったというね(白目)。

 

彼の日々が一変する出来事から

色彩が鮮やかに変化していきます。

 

「…人を好きにならないのに、一人が寂しいのか?」

 

という問いに対して「寂しい」と答える主人公。

吐露できる相手がいることに対しては

うらやましく思います。

 

気持ちの面では、自分はわからないんだよなー。

結局、己の「寂しい」を埋められるものが

「性愛者と同じ」ではないので。人外とは暮らしたい。

とはいえ、性愛優先で結びつきが開始してしまう

世の中を息苦しく思っているところは同じです。

 

誰一人として血のつながっていない

恋愛・性愛関係の結びつきではない他人同士が

ひとつの家族としてこれから生きていくのだろう

というラストは美しくて、涙してしまいました。

(途中から涙腺緩んでいたので、会社でなければ本気で泣く)

 

彩羽ちゃんが素敵な女の子なので

「女の子らしく」に矯正されることなく

このまま健やかに成長してほしいな~。