『カムイ伝全集』第一部第4巻

 

年越ししてしまいましたが

今のペースだと初夏に読み終える

気もしない……大作だからね!!

 

物語の始まった頃は少年だった

キーパーソンたちが、青年となり

抱えるものも乗り越えるものも

増えていくのでな……押しつぶされまい!

 

以下、感想です。

 

 

 

第4巻「谷地湯の巻」

★第1章「霞ぎり」

鉄人の道場に集うキーパーソンたちですが

ここでカムイの秘剣・変移抜刀霞ぎりが

完成するのだ!

 

型の元ネタが、女性の薙刀使い

アテナさんというのもいいな~!!

竜之進くんの家伝の刀とを

カムイが交換する光景もすばらしい。

 

ここから過去回想、カムイの

下忍修業時代となりますが

師匠となる赤目との戦いは

見応え満点であります。

 

そして現在に戻り、領主の参勤交代を

聞きつけた竜之進くんは

仇討ちを遂げるため駆け出すのですが

彼を止めるため走るカムイ、

さらに彼らを止めるために追う人々が…多い!

 

変移抜刀霞ぎりが

さらっと披露されますが

横目が切られるという強さ!

 

 

★第2章「割り付け状」

参勤交代での将軍への献上品として

キジ狩りが行われるのは壮観ですが

追い込んだ先が、豊かに実った

稲穂が生い茂る田んぼなので

辛いよう……そして白キジがいた!

 

白キジをとらえた山方役に

出世の機会が与えられるのですが

武士は武士で大変なのだ……

 

そしてこの小平太さんはいい侍

(百姓を思いやれるしハプニングに寛容)なので

すぐ死にそうなのである←

 

参勤交代が始まったところで

前章で駆け出した竜之進くんが

仇討ちに乗り出すのですが

カムイの援護で部下と共に逃げるのでした。

 

やはり小平太さんは

この仇討ち騒動で死んでしまいますが

白キジは逃げていくので、生き延びるのだよ~。

 

新しい百姓代を誰にするのか、

割り付けを誰が決めるのか、などなど

正助くんが行ってきた「勉強会」の成果が

あちこちで見えてくるのだった~。

何もしない庄屋ではないのが憎い!

 

亡くなった小平太さんの家族は

仇討ちを願い出ていたものの

カムイは彼らを暗殺するよう命じられ

そして?という展開になるのでした。

 

 

★第3章「赤目」

仇討ちに失敗し逃げることとなった

竜之進くんと一角さんは

カムイの故郷である非人の里で

暮らすことになるのだった。

 

正助くんが人殺しに遭遇し

口封じに殺されそうになったところで

庄屋に始まり、百姓、非人の皆さんが

集まって守ろうとするのは人徳よ!と思うのです。

ナナさんがヒロインのまなざしになってる……

 

竜之進くんの仇討ちの際に切られた

武士たちが皆大けがを負った状態で

クビにされるの、支配階級でも大変である……

そして武士以外の暮らしは「できない」ので

妻子と無理心中を図る、人斬りなのだ。

 

非人の暮らしで生きていけないと

思いつめる竜之進を教えさとすのが

百姓から非人となった苔丸なのは

良い采配である~。

 

苔丸「ここにくれば

 身分なんてものはねえ。

 みな 人間だ。

 武士だったうぬも、

 百姓だったおれも、へんな

 世の中のしくみをとっちまえば、

 どこもちがいはねえ。

 くわなきゃ死ぬし、

 死ねばがいこつさ。」

 

生きると決めた竜之進くんが

ここで村を訪れた正助くんと再会し

おミネさんのしゃれこうべの前で

領主筆頭、侍たちへの反逆を決意するのでした。

 

割り付け帳のうつしと引き換えに

本百姓にすると庄屋に伝えられた

正助くんの未来に幸あれ!!(でも無理だろう)

 

前章で仇討ち侍一家を殺したのは

カムイではなく誰なのか?が

語られないままでしたが、ここで

その人が師匠・赤目であり「抜忍」と

なったことも明らかになるのでした。

 

 

★第4章「谷地湯」

庄屋の命で正助くんが旅に出ている中

夫役金を納めねばならなくなった村人たちは

直訴を検討するのですが、内通者がおり

他の村と連帯する前に兵が向けられてしまうのだ。

 

直訴を断念した村人を代表し、

百姓代となった武助さんは

江戸に向かうこととなりますが

飼い犬が文を運んでくれるのはいいね!

 

冬を迎え、物語は白オオカミの

カムイに視点が移りますが

野生動物の厳しさが心地よいね←

 

野獣と化した猫に、狼のボスが

敗北するの、うまいな~。

ネコ科は三倍の相手まで戦えるし

イヌ科の戦闘は経験がものをいうので。

 

猫に対し勝利したカムイは

一時的に群れのボスとなりますが

片目の挑戦に敗北してしまうのは

残念。尾を振っているのはかわいい。

 

崖から落ちたカムイは

体を鉱泉で癒すことになりますが

水辺で動物たちは争わないのは、そう……

『シートン動物記』でも出てくるね~。

 

人間もまた体を癒すために

訪れることになりますが

カムイが忍となったことが

サエサに伝わるのはどう影響するのか。

 

本百姓となった正助くんの

新生活は快調に始まりますが

通常は敷居をまたがせないらしい

野カジとも交流しているので

また人柄にほれる人を増やしている……

(作品における攻略王は彼だからな!)

 

大けがをした正助くんのところには

続々手土産を持った見舞いがあり、

苔丸は傷を治すことを最優先しろ

庄屋にかりを作ってもかえせばいい、と

米を差し入れる一幕が続くのでした。

 

草加の坊ちゃんは数日反抗したのに

正助くんは一回の説得で納得する……

賢い人は困難をこうして乗り越える……

 

正助くんが湯治に来ているところで

ナナさんとのロマンスが盛り上がるの

いいですのう~、苦難しかないけど!

苔丸の失恋もセットであるが仕方ない。

 

正助くんの田の荒おこしは

非人や百姓仲間が時間をさいて

完了させてくれていたという

光景は、涙なしには読めない……

 

武助が仲間に知られることなく

処分されてしまったところで

入る作者の語りが容赦ないのであった!

 

 

★第5章「作造り」

抜忍となった赤目の

逃亡劇が描かれる……!

 

奉行所と牢屋敷の光景が

描かれますが、現代まで続く

権力者の横暴よ!!

制度化って強力ですよ。

 

牢屋敷内でちょっとした革命が

起きるのですが(脱獄まではいかない)

それを謀ったのは流罪になることで

生き延びようとした変装した赤目であると

読者が勘づきつつ、怪しい人物の視線もあり

気になる引きで終わるのでした。