『作画 汗まみれ』

 

大塚康生による、昔語り本。

 

昔のバージョンは読んだ気がするのですが

加筆版ということで

勲さんの展覧会でそのまま購入。

 

東映動画のお話がやはり好きです。

虫プロについても

触れていてありがたいなあ。

 

以下、感想です。

 

 

 

日本のアニメーションの

第一線を駆け抜けてきた方の

実績と分析がすごいなあと

あっという間に読み終えてしまいました。

 

東映動画の『西遊記』『太陽の王子ホルスの大冒険』

『長靴をはいた猫』は個人的には三大作品ですし

(動かし方などではさらに過去作品が好きではあるが)

『ルパン三世』『未来少年コナン』『パンダコパンダ』などなど

好きなアニメ作品の作画は、大塚さんと近藤さんが

中心だなあ……とにまにましてしまうのです。

 

大塚さんは女の子の絵は確かに

苦手なんだろうなと思っていましたが

(そりゃ、あの森さんと比べたらねえ!!)

駿さんと違って、地に足のついた子なので

私は大塚作画の女の子、結構好きなのでした。

 

コナンが上か下か論争については

私は大塚派なので、駿さんのほうが

すけべえだな、と思ったりもしました。

じゃあスカートめくらないでくださいよ、まったく!!

 

ディズニーアニメーションの動かし方も

あれはあれで好きなのですが

東映スタッフの反発心は

大手への反発に似たものかな。

 

他の国もそこまで違っているわけでは

ないしねえ……?

まあ同じものを作るなら

そっちのスタジオに行けというのは賛成ですが。

 

手塚治虫の設立した虫プロによってもたらされた

現代のジャパニメーションの欠点が

ずばずばと指摘されていて、むしろ痛快。

 

・人気原作のキャラクターであれば「動かなくて」よい

・上手い方のイラスト、止め絵を多用する演出

・受注の低価格路線

・動かすだけだろう?というアニメーションへの軽視

 

これは今でも続いていることで

悲しい歴史でもありますよね。

 

ジャパニメーションですごい作画だなあ!と

思う作品は新作でももちろんあるのですが

あくまでも作画「枚数」が多い

演出が凝っているというだけのことであって

大好きな東映動画時代にあった「動く」絵というのは

全然残っていないなあ……というのが本音です。

 

高畑作品は安心作画なのでちょっと脇に置いておき

ここ数年だと『花の詩女ゴティックメード』が

東映の「動く」絵がちゃんとそこにある新作だったので

動いているだけで泣きそうになったのは懐かしい思い出ですね。

 

アニメーションに関わる人間としては

手塚治虫はぶっちゃけ「破壊者」なので

(マンガ作品は好きだけど、ここははっきりしてる)

関係者の皆さまの発言もそりゃあ攻撃的に

なりますよねえ!とは思っておりますが。

(富野さんみたいな原作破壊はさすがに怒るけど)

 

大塚さんは分析と批評がきちんとしているので

こういう批判は貴重だよなと

ちょっと新鮮味を覚えました。

(ただ給与については否定しておきたいかな。

虫プロの人は低価格のわりに、わりと高給ではあった。

だからつぶれたともいえるのだが!!)