木原敏江の作品。
平安の世を舞台とした
恋物語集であります。
三篇ある内、冒頭と締めは
検非違使の主人公のお話です。
以下、感想です。
冒頭の物語が鮮烈すぎて
小編・続編も見事な出来ながら
おまけのようなものになってしまう~!!
主人公と身分違いではあるが
かつて愛し合った女性が
身投げ後、とある貴族の男に救われ
かの男のためにたくましく生きてきたという……!
その貴族の殿方も、愛しい女性が
自らのために盗賊業をしていたと知った後
それでも救うために「体を張って」くれるという……!!
そりゃ子どもだったとはいえ
逃げ腰になった主人公は選ばれませんわ~
という、納得のラストであります。
間に挟まれた、白菊のお姫様と貴公子の
エピソードは絵物語のように美しい~。
締めのエピソードとして
冒頭主人公の新たな恋が
描かれるのですが、お相手が
剣を習った男装の姫!という上手さよ。
強欲な国司の犠牲となり
盗賊に身を落とした(義賊ではあるが)
鬼姫の美しさたるや……!!
主人公が盗賊勧誘受けるくだりも
王道ですが、ええものだな~。
国司もかつての恋を思い出す人間味があり
ちょっと救いのある描き方でよい。