『大正浪漫探偵譚』

 

木原敏江の作品、全4巻。

 

「仏蘭西浪漫探偵譚」シリーズと

役者が同じ!なのですけれど

大正時代舞台のミステリィと

金田一・江戸川テイストの相性は抜群なのだ~。

 

以下、感想です。

 

 

 

★「大正浪漫探偵譚」シリーズ

一番最初のお話にて二人が出会い結婚し

その後は事件に巻き込まれ探偵ぶりを

発揮していくという型は変わらず。

長期連載の結果、お子さんが生まれてよかった~。

 

主人公カップルの特に女性サイドは

健康!健全!!を体現しているため

怪しいほにゃららが逃げてくれる、という

良さも変わらずなのですが。

 

愛憎劇を発端とする連続殺人、

真相が明らかになった瞬間に犯人は自殺、

を延々と読み続けると疲れてくるのだ~。

「合掌」が決め台詞になるのいかんぜよ。

(当方ミステリでの「自殺」は勝ち逃げとみなすので)

 

あやしい人たちから逃げ延びた

(ば)カップルが何組もいるのが幸い……

生き延びた皆さまは、お幸せに!!

 

とはいえドジ様の華麗な絵柄による

和装・洋装を始めとするモダン画面は美しく、

現代に生きる作者・読者視線も

交えた、男尊女卑・特権意識への批判、

自立した人間への敬意がまぶしいのは

死亡ミステリの中で輝いておりますね。

 

関東大震災も生き抜いた主人公たちの

大正の終了まで語られた物語は

その先も続いていくのです。

 

☆☆☆

 

ところで。登場時から読者へは

怪物の正体バレバレじゃねえか!という

ガラパゴスイグアナのお話が

すごく好きなんですが、もしやこれ

モー様の『イグアナの娘』に

インスパイアされてるのか!?最高だ!!

 

 

★「瞬きの劇場」シリーズ

古今東西「古典」作品の

8Pまとめ作品ですよ、8P!?

作家の技が光る~。

 

他、90年代初期に発表された

短編は生き生きと働く成人男女の

波乱万丈だけど大団円!という物語ぞろいで

自由があるのは良いものだ~と思えますね。