『仏蘭西浪漫探偵譚 水晶と天鵞絨』

 

木原敏江の作品。

 

表題作のロマンチックミステリィ連作に加え、

井原西鶴『好色五人女』を題材とした

現代恋愛ものを収録しております~。

 

ドジ様の強い女性は生命力が強い!

闇のなんちゃら系(笑)は

ダッシュで逃げていくぜ!!

 

以下、感想です。

 

 

 

★「仏蘭西浪漫探偵譚」シリーズ

絵は華麗で耽美と称するにふさわしいのに(?)

作家の生み出すキャラクターたちは

地に足の着いた「生命力」を備えてるんですよね~。

 

最初のエピソードでめでたく

カップル成立となり結婚しているので

その後は夫婦で事件に巻き込まれていくのです。

 

ヒロインが不妊かもしれない、という誤解を

隠したまま進める離婚騒動の解決策が

養子という手があるし、

動物もたくさん飼おうとなるのは

金持ちとはいえ素敵ですね~。

 

ポーの『アッシャー家の崩壊』を

モチーフとしたお話でも

ゲストは耽美(退廃とも言う)を漂わせつつ

あっという間に現実コメディに

していく光景、痛快なのであった!

 

豪邸に住まうでっかいダルメシアンたちが

最初から最後まで犬の動きをしていて

ずっとかわいくてかっこよかった……

犬を描ける作家さんは最強である。

 

あとがきにて「大正浪漫探偵譚」シリーズと

役者が同じ!という楽屋裏ネタに

触れられているのでした~。

 

 

★「木原版 西鶴・好色五人女」シリーズ

90年代初期・現代日本への翻案となりますが

バブル期のなごりが強い~。

 

五組全部進める予定だったかについては

あとがきがないので不明となります!

悲しい話で締めとなってしまうのは残念だ。