『ふるふるーうたの旅日記ー』

 

木原敏江の作品。

 

タイトルの名づけ方から

ドジ様の教養が爆発しているな~。

嫌味のなさが見事です。

 

以下、感想です。

 

 

 

お経を読み上げるとまわりの人が

全員眠りについてしまうお坊さん、

「仕事」をうまく進めるために

女装に慣れている旅の遊芸人、

お坊さんに憑りついてしまった

十二単装束姿の名を忘れた幽霊、という

でこぼこトリオの配置の妙よ!

 

盗賊の「仲間」と勘違いされた

お坊さんが名乗ることになった

降古法師という偽名、人々が

聞き間違えた際の読み方などなど

うまいですわ~とにまにましてしまうのです。

 

お経ではまわりの人々は眠ってしまうが

(加護の強いお坊さんなんだなあ……)

和歌であれば眠気を誘わないどころか

不思議な力が助けてくれる、という

スーパー法師が誕生するくだりの美しさ。

 

物語の「転」にあたる部分で

お坊さんと遊芸人がケンカ別れしかけたり、

幽霊が行者に調服されそうになったりしますが

人が通わせた想い、仏さまの思いやりもあり

でこぼこトリオはカルテットとなって

旅はまだまだ続くのであった~、というさわやかエンド。

 

彼らの物語をもっと見たいな!と

思えるところで終わるのも

また幸福な着地と言えましょうね。