監督・八鍬新之介、2023年公開。
色んな要素がある原作から
物語の軸を泰明ちゃん・戦中に絞った結果
ちょっと心残りもあるが、
「子ども」が不幸となる戦争に反対する
映画と仕上がっております。
以下、感想です。
注ぎ込む光が優しく・色彩豊かで
子どもが子どもらしい動きを披露する
豊かなアニメーション作画は
何度見ても見応えがありますね〜。
キャラデザについても、戦中・戦後の
子どもの描き方はあんな感じだったな〜と
懐かしく思い出せるものでした。
音楽はスタッフ情報が出たときから
全く心配していなかった野見さんなのですが
今回もすばらしかった。またCDが増えたぞ。
アニメーション空間がいわゆる「アニメ」芝居を
要求していないので、役者の皆さんがぴったりで
聞いていて楽しかったですね〜。
トットちゃんを演じたりりあなさんが
大成する日が楽しみです。
以下、引っかかった部分かつ
海外で受容される場合には
わかりにくくなってるところだよな〜
というくだりについて触れるので
しばし空けます。
☆☆☆
トットちゃんはじめトモエ学園の生徒の皆さんが
富裕層の育ちで、後も大成しているというのは
自伝等で知っていた情報ではありますが
こう、アニメーションでまざまざと見せられますと
庶民からはちときついな〜と思ってしまうのであった←
すでに戦争が本格化しており
地方では困窮が始まっていたにも関わらず
「太平洋戦争」まで都市部は豊かだったんだなあ……
そして加害者意識はどこにもない。
いやまあ子どもにまで加害意識を持てというのは
旧・満州国からの「脱出」民のマンガ家さんたちの
自伝を見ていても、それは無理かなと思いますけれど。
同時代の成人男性は違いますからねえ(選挙権を有する現代なら女性も)。
トットちゃんのお父さんはあくまでも
インテリの人で断固抵抗はできないんですね……と
ゲンのお父さん(とそのモデル)を知ると
思ってしまうんだよな(爆)まあ犬の件で知ってたけど。
あくまでも物語の主人公はトットちゃんで
彼女の境遇が辛いものになってくるまで
カメラが「すでに」傷ついている人々に向かないという
演出は見事だったのですが、現代の世相を思うと
「受け手」は複数作品を並行して受容しないと意味がないんですね。
ロッキーがかわいらしく動いて吠えるたびに
でもこの子、トットちゃんが家から離れている間に
「供出」されるんですよね……と
脳内にテロップが浮かんでしまう状態でしたが、
首輪と犬小屋示唆に留めたのはちと
逃げかな←と思ってしまったのであった。