『チムニーズ館の秘密』『七つの時計』

 

アガサ・クリスティーの冒険活劇を買いました。

どちらもバトル警視物です。

 

クリスティーの作品は、読んで損することはありませんけど

冒険活劇は特にそうですね!

ミステリーよりこっちの方が、文章は活き活きしています。

たぶん彼女が若い頃の作品だからでしょう。

 

以下、ネタバレです。

 

※19.06.21に加筆・修正※

 

 

 

★『チムニーズ館の秘密』

バトル警視物第一作。

既読済みなのは最後の登場となる

『ゼロ時間へ』のみです。

 

キーワードは次のようになりますね。

・王政復古で混乱中のバルカン某国

・敏腕政治家の回顧録

・フランスの宝石泥棒

・美女の窮地を救う快男児

・館に集うひとくせもふたくせもある人物たち……

 

これだけの要素がもりだくさんでありながら

最後には全てがつながるというすごさ。

クリスティー作品には魅力的なカップルは多いですけど

主役の快男児アンソニーと、未亡人の美女ヴァージニアは

これまたすごいですね。

 

そしてバトル警視のような渋い人物はすごく好みです。

若い頃はどんな人だったのでしょう?気になります。

 

以下、核心部分のため白文字です。

 

なんとアンソニーは某国の王子様だったんですよ!

ヴァージニアと結婚して

このあと国に帰って王と王妃になるんだとか……

 

え~!?ですよね。

冒険活劇だから許される展開ですな。

でもヒントはばらまいてあったんだから、気づかない方が悪いのか(笑)

 

めずらしく頭のいい美男美女同士が結婚するのですが

国王夫妻になるんだったら、それもいいかな。

 

宝石泥棒キング・ヴィクターは、フランスですし

どこぞの怪盗紳士が念頭にあるかもしれません。

彼も変装の名人でしたね。

 

フランスの警部?は、フィッシュ氏が白とわかってから

やっと怪しいと思い始めました。

あ~、まただまされちゃったよ!私っていい読者ですね(笑)

 

この大団円の物語でかわいそうなのは

ヴァージニアに振られてしまったビルくらいかな?

次のお話で大活躍をするのは

クリスティーが気の毒に思ったからでしょうね。

だって彼はクリスティー作品に典型的な「いい人」ですから。

 

 

☆『七つの時計』

バトル警視物第二作。これは秘密結社物ですv v

こんな王道素材をどう料理するかが、作家の腕の見せ所。

 

なんせ秘密結社のメンバーは、お互いを数字で呼び合い

覆面には時計の文字盤が描いてあるとか……

いつの時代の少年向け冒険活劇!?の世界ですね。

 

考えるよりも行動!の魅力的な女性バンドルの活躍を追いつつ

最後には仰天することができます。

うん、これは本当に「仰天」しますよ。

 

以下、核心部分のため白文字です。

 

まさかバトル警視が結社のボスだなんて!

このくだりを読んで、私はバンドルに負けないぐらいびっくりしました。

すごい、これは今までで一番ぐらいの反則!(ほめてますよ)

 

だって秘密結社のボスが警視だなんて、誰も考えませんよ~!

私も候補から除外してましたもの。

まだまだ修行が足りないのですね~。

 

バンドルがゴーダックに求婚される下りは

笑いをこらえるのが大変です。

それを聞いた、ビルの反応もね。

こういう青年は貴重ですね、うん。

 

前回の話で振られてしまった?バンドルなのですが

ビルが人物としてちょっと出世?したので

めでたく結婚することになりましたね。

 

☆☆☆

 

このままいくと、クリスティー作品は全部制覇できそうですね。

冒険活劇物はそろえたいかな~、あと数本ぐらいしかないのですけど。

 

ミステリーの女王であることは否定しないけど

個人的には物語の女王にしたいですね。

ミステリーの枠にとどめてしまうのはもったいない!