『初恋ゾンビ』

 

峰浪りょうの作品。全17巻。

 

先日、最終巻が発売となり

無事完結いたしました~。

 

シリアス編に突入してからは

着地がどうなるのかはらはらしていたので

ちょっと距離を置いてみたりもしましたが

サンデー掲載第一話から

追いかけさせていただいておりました。

 

『ヒメゴト ~十九歳の制服~』で

好きになった作家さんなので

最後はハッピーエンドになるのだろうと

期待しておりましたが、大満足です。

指宿くんが幸せそうで何よりだv v

 

主人公カップルの物語がぶれてしまうためか

作中はヘテロカップルだらけではありますが。

同性カップルだったらどうなるのかな?

対物性愛者のゾンビのデザインは?などと

「初恋ゾンビ」という存在をとっかかりに

恋愛事全般を考えていくという

楽しみ方もありなのでは?と思っています。

 

完結後の総まとめインタビューも読みましたので

そちらも合わせての感想となります。てかほぼそっちか?

好きな作者さんは納得のラインナップでした。

インタビューはこちら(クリックで記事に飛びます)。

 

以下、ネタバレです。

 

 

 

☆初恋ゾンビ

物語の根幹の設定のため、まずはこちらから。

 

初恋の女の子をモデルに、生身の男の子が作り出す

思念体。しゃべることもあるが「自我」は基本的にはない。

創造主の理想・妄想が反映された都合のよい存在で

モデルの女の子の完全再現となることはほぼない。

創造主のその時々の思考に応じて姿や台詞が変化する。

 

初恋の子と恋愛成就すると、光り輝き消滅する。

失恋すると失恋ゾンビと言われる負の形態となり

創造主、まわりの人物に災いをもたらすこともある。

また「失恋」ではあっても、創造主がその想いに

なんらかの決着をつけたのであれば、別媒体に宿り消滅する。

 

……というような説明でいいのかな、うん。

ヘテロセクシャル・性愛者の高校生を中心にお話が進むため

うん、まあ、あれだ、みんな18歳未満だけど

画像やら動画やらはあさっていますよね(笑)ということで

18禁まであともうちょっと!という表現が結構あり

ぶっちゃけ目のやり場に困ります(爆)

 

あー、作者さん女体の理想化デフォルメうまいなーとか

そういう方向に思考を持っていくのであった(汗)

ゾンビに限らず女の子全般、胸が大きいので

少年誌だなあ……とも思ったりはする。

 

作中では物語の本筋とややこしさ回避のためか

初恋ゾンビのモデルは「女性」で

ゾンビを持つのは「男性」ということになっておりますが

男の子から生まれたり、創造主が女の子のパターンも

本当はあるんじゃないかなあ、と思っています。

 

人外型が全くいませんでしたけれど

いそうな気もしている。

私だったら王蟲がいるんだろうなあ(自分の初恋)

などと考えるのは結構楽しいです←

 

 

☆物語

作者さん曰く「初恋の相手ともう一度恋をやり直す話」の

一言で説明が完了してしまうのだと思います。

 

あと宣伝は「ラブコメ」ではありましたが

確かにコメディ色もあるけどラブコメかな?とは

感じておりましたので、インタビューは納得でした。

まさに「青春ストーリー」ですよね!!

 

キャラクターの名前からして

『旧約聖書』モチーフなのだろうとは思っておりましたが

物語の骨格やキャラクター造形のあたりは楽しく

インタビューを読ませていただきました。

うん、ラムちゃんは絶対リスペクトだと思ってた!

 

高橋留美子、手塚治虫、山岸凉子好きには

わりとがたたっっっとなりましたよ(笑)

 

「男の子に希望を持ちたいし持たせたい」という言葉で

ああ、だから私はこの作家さんの着地がすごく好きだし

新作もずっと追いかけていきたいな!と感じました。

 

作家さんの根っこって「信頼」するかどうかには

とても大事なポイントになりますので。

では以下、キャラクターのお話です。

そして予測できる通り、ゾンビ組は後ろです。

 

 

☆久留目タロウ

通称、タロちゃん。「自我」を持つ初恋ゾンビ

イヴとの出会いにより、初恋ゾンビを中心とする

高校生の恋愛騒動に奔走する日々へと日常が変化する。

 

この手の省エネ男子は、正直好みの系統ではありませんが

事件解決に紛争していくくだりは面白かったです。

が!中盤からのタロちゃんはわりとひでー男だな!!と

思いながら読んでおりました(笑)

 

指宿くんが惚れこんでいたから結婚まで行ってたけど

別れる未来もありだったんじゃないかな?ぐらいには

思っております……我ながらひどいな?

 

 

☆指宿凛々澄

本名は「りりす」、男の子用の偽名は「りりと」。

初恋の男の子・タロちゃんの頭突きにより

男の妄想・理想思念体が、常時見えるようになってしまい

女の子としては地獄の日々を過ごすうちに

男装して生きていくことを決意。

 

ということで「性嫌悪」の女の子の話を

がっつりやっていくのかと思いきや

あれ?この子「恋する乙女」??モードに

突入したため、肩すかしをくらった感もあります。

 

後に登場するお母さまも含め

ちょろすぎる……変な男に騙されないか

心配になってくるぜ!!とも思ったり思わなかったり。

そしてめんどくさいところもそっくりという。

 

自分が予測していた役割とちょいと変わっていたので

あんまり指宿くん目線で応援!という気分には

ならなかったかなー。まあ恋する乙女はかわいかったけどv v

 

 

☆江火野芽衣

ぶっちゃけ人間だと、私は芽衣ちゃん派でした。

女性ファンでは少数派扱いになるらしいですが(爆)

いやだって指宿くん……めんどくさいし……

 

正直なところ、私自身がめんどくさいタイプなので

「好き」「推す」キャラクターは

まっすぐでぐいぐい行動するタイプになってしまうのですね。

(似てるのはグレアム、唱さん、青比古さんで

好きなのはサーニン、竹流くん、桂さん、みたいなさ!!)

 

本当はイヴちゃん派なんだけど←

性質上、構成上、人間とのラブラブエンドは望めないので

人間なら芽衣ちゃんを応援するぜ!!と思っておりました。

そして彼女が「人外」との向き合い方についても

誠実だったのが嬉しかった。

 

彼女には素敵な彼氏さんがいつかできるんじゃないかな

という気もしております。ナストくんはよかったけど違うし。

人吉くんではないな、てかもうホント近寄らないでほしい(爆)

 

 

☆八代龍

男の子で選ぶなら断然彼!という

創作の男の子の好みのわかりやすさよ←

 

彼の初恋ゾンビは、ちゃんと

現実の女の子に寄り添っているところも

好印象でした。途中スケバン状態だったのは笑ったけど。

 

 

☆天草亜美

恋する暴走乙女というところは好きなのですが

いやはや、めんどくさい女の子というものは!!

 

龍くんと初恋成就おめでとうございます。

芽衣ちゃんに寄り添ってくれるところは

好きな女の子でもありましたよ。

 

ではではゾンビ組に移ります。

 

 

☆イヴ

人間に都合よく作られた存在が

自我を持った結果、人間ではなく

自分の望みを叶えるといったお話には弱いのです。

種明かしパートはわくわくしました!

 

イヴが特別な初恋ゾンビである理由は

なぜなのかについては

・久留目一族が継いできた特殊能力

・タロウの曽祖父の初恋ゾンビ

・失恋ゾンビの変質形態 などなど。

 

要所要所でなんかおかしいな?と

感じてきてはいたのですが

こういう鮮やかな伏線開示はたまらないものです。

 

自我を持った初恋ゾンビは創造主や

他の初恋ゾンビのエネルギーを喰い存在を保つことから

彼女が独立した存在として

ずっとタロちゃんのそばにいるエンドは

望みようがなかったので、ハッピーエンドなんだろうな。

 

ワンちゃんと目が合って喜んでいる頃の

イヴちゃんが大好きすぎて

自分の二次創作ではそっち路線で遊びたいものです。

あのエピソードの犬作画がかわいすぎるv v

 

 

☆キョウコ

タロちゃんの曽祖父さんの初恋ゾンビ。

余命わずかなひいおじいちゃんの命を喰って

存在を保っておりますが、お互い幸せそうである。

 

初恋ゾンビの望みは、創造主と初恋の相手の

恋が成就し、創造主の中へ帰っていくという

「人外」の生き方をイヴちゃんに示したのが印象的でした。

 

本懐を遂げることはできなかったけれど

彼女の存在も否定されていないというのが

この物語の優しさを感じられて好きかもしれません。

ちゃんとハワイにも行ったようですしね。

 

 

☆エビノZ

人吉くんVer.は毎回目のやり場に

困っておりました。上にも書いたけど

もうホント、芽衣ちゃんに近寄らないでほしい……

 

文化祭を経て嫉妬の感情が

落ち着いたのはいいことですが

君の恋情はそういうものでいいのか……

というか、あれって恋情なのかな?とも

突っ込みたかったりする。

 

芽衣ちゃんに惚れたのも外見からだろうし

出現時のノアZみたいなエピソードもなさそうだし。

恋愛対象を都合よい妄想の道具にしか

できないのって恋……なのかな……

 

成人くんVer.のエビノZは

本人忠実再現型なので好印象でした。

いつか自分が「大人」になったら

また告白させてくださいという

年上女性に対する恋慕の、決着のつけかたも素敵。

 

彼はきっと素敵な女の子とまた

別の恋をするのでしょう。

でも手塚作品ならその恋が復活したりも

するんだろうな――!!

 

 

☆アマクサZ

龍くんVer.の眠り姫~スケバン~現在の亜美ちゃん

そして昇華、の変化は興味深かったです。

 

席田くんVer.が結構好みだったりもします。

相手にすでに想う相手がいなくとも

かなわない恋心というものはたくさんありますし。

 

絵画という形で彼女への想いを

昇華させる、その絵に棲まうアマクサZは

きれいだなあ、幸せそう、と思ってしまいました。