新谷かおるの作品、全23巻。
内乱が続く中東の小国、外国人傭兵部隊で
繰り広げられる近代兵器・戦記です。
人間ドラマは序盤からものすごく上手い。
新谷作品は「道具」で死ぬ人ばんばん出るとはいえ
わりと皆殺し最終回となりますので
キャラに思い入れを抱いちゃうタイプには悲しい。
作者さんの代表作ですので
好きな作品にこれをあげる方も
多いんだろうな~(ちなみ私は『ふたり鷹』派です)。
以下、感想です。
作者さんのキャリア初期から描かれている作品につき
兵器の「慣れてない」感から「新谷作画」へと
変化していくのが、読んでいて楽しい。
女性キャラ、序盤はまーじーでー
師匠の松本タッチである。アイラインそっくり。
だんだん佐伯タッチが混じってくるが。
この夫妻はモブキャラ互いに描かせているので
探すのもひそかな楽しみだったりするんですが
この作品はがっつり佐伯作画キャラ登場するんだよね。
(『ダイヤモンドチェイサー』大好きなので、ゲストに歓喜の舞)
よくわからん書類に絶対にサイン・捺印を
してはならない、と教えてくれたのは
エリア88である……地獄を見るのですよ。
神崎が典型的な「与えない」故に飢えてる人なので
お前さんが満たされることはないし
真くんへの執着についてもうちょい考えたら
ちょっとはましな人生になったろうさ……と思うのであった。
読者が好きだったのは、作中で生き延びるために
必死に戦ってきた真くんですので
最終回にて記憶をなくしてしまったのは
当人にとっては「良き」ことであっても
辛いんだよなあ。作中キャラも語ってるけどね。
道具と人間の関係性のシビアさは
キャリア初期から一貫して
誠実に描くことができている作家さんなので
特例として、兵器戦記も「楽しく」読めるのですが
この辺の話はふたり鷹かカメラシリーズで
ちと触れましょうかねえ。